巻頭言 生理心理学の実社会応用

「はじめに」近年, 生理心理学の知見を実社会の課題解決に応用しようという機運が以前にも増して高まっている. 中でも, 産業界における製品(モノ)やサービス(コト)の開発・評価に生理心理学の知見を取り入れようという試みは, 自動車産業, 医療やヘルスケア産業, 映画やゲームなどエンターテインメント産業, 観光産業などの幅広い分野で盛んに行われている. もちろん, 生理心理学の実社会応用は今にはじまった動きではない. 昨今の機運の一層の高まりの背景には, 市場の成熟化による消費様式の変化が関わっているだろう. 近年, 製品の性能が一定の高い水準に達したことで, 製品の差別化がつきにくく, 製品の性...

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Published in生理心理学と精神生理学 Vol. 37; no. 1; pp. 1 - 3
Main Authors 木村健太, 玉越勢治, 森本文人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理心理学会 30.03.2019
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ISSN0289-2405

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Summary:「はじめに」近年, 生理心理学の知見を実社会の課題解決に応用しようという機運が以前にも増して高まっている. 中でも, 産業界における製品(モノ)やサービス(コト)の開発・評価に生理心理学の知見を取り入れようという試みは, 自動車産業, 医療やヘルスケア産業, 映画やゲームなどエンターテインメント産業, 観光産業などの幅広い分野で盛んに行われている. もちろん, 生理心理学の実社会応用は今にはじまった動きではない. 昨今の機運の一層の高まりの背景には, 市場の成熟化による消費様式の変化が関わっているだろう. 近年, 製品の性能が一定の高い水準に達したことで, 製品の差別化がつきにくく, 製品の性能が直接的に消費者の感じる価値につながりにくくなっている. このため, 製品や商品の機能ではなく, それらを購入することで感じられる体験の価値を高めようとするモノ消費からコト消費への消費様式のシフトが起こっている.
ISSN:0289-2405