B-27 温熱化学放射線療法後切除した下顎に対しチタンプレート・インプラント義歯で咬合再建した下顎歯肉癌の1例
高齢者の高度進展下顎歯肉癌に対し, 温熱化学放射線療法を施行し, 切除可能となり, 下顎半側切除後に, チタンプレートおよびインプラント義歯で咬合再建した1例を経験したので, その概要を報告する. 症例:74歳, 女性. 初診:2002年11月. 現病歴:同年10月, 右側頬部に腫脹が出現, 下唇に知覚異常がみられ, 某歯科から紹介された. 現症:全身所見:身長150cm, 体重52kg. 口腔外所見:右側頬部に帯赤色, 弾性硬の腫脹を認めた, 口腔内所見:右側下顎臼歯部に潰瘍と硬結を認め, 頬部の腫脹と連続していた. CT所見:同部に長径65mmの腫瘤性病変および虫くい状の骨吸収像を認めた....
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| Published in | 日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 19; no. 4; pp. 263 - 264 |
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| Main Authors | , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本口腔腫瘍学会
2007
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0915-5988 |
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| Summary: | 高齢者の高度進展下顎歯肉癌に対し, 温熱化学放射線療法を施行し, 切除可能となり, 下顎半側切除後に, チタンプレートおよびインプラント義歯で咬合再建した1例を経験したので, その概要を報告する. 症例:74歳, 女性. 初診:2002年11月. 現病歴:同年10月, 右側頬部に腫脹が出現, 下唇に知覚異常がみられ, 某歯科から紹介された. 現症:全身所見:身長150cm, 体重52kg. 口腔外所見:右側頬部に帯赤色, 弾性硬の腫脹を認めた, 口腔内所見:右側下顎臼歯部に潰瘍と硬結を認め, 頬部の腫脹と連続していた. CT所見:同部に長径65mmの腫瘤性病変および虫くい状の骨吸収像を認めた. 臨床検査:特記すべき異常所見なし. 診断:下顎歯肉扁平上皮癌, T4N0M0. 処置および経過:温熱化学放射線療法としてMW加温4回, CDDP 40mg, TXT 40mg, ライナックX線36Gyを併用した. 治療後腫脹が縮小(PR)したため, 2003年1月, 上頸部郭清, 下顎半側切徐, D-P皮弁を用いて再建しえた. 病理組織所見:下顎骨体の一部にのみ生存癌組織を認めるgrade II B(大星, 下里分類)の効果が得られた. 2005年1月, チタンプレートで下顎を再建, 義顎を新製し審美性を回復した. 高度先進医療に認可され, シンプラントによるシミュレーションを行い, 2006年5月, 残存下顎骨の3番部, 再建プレートのネジの間隙にITIスタンダードインプラント12mmを1本埋入した. 7月, 2次手術後, 8月, 磁性アタッチメントを装用し, インプラント支持義歯を装着した. その結果, 義歯の維持安定が得られた. 咀嚼機能の評価としてデンタルプレスケールの結果では総咬合力はアタッチメント装着前には39kN, 装着後には133kNと上昇が認められた. 自覚的にも山本および山下らの評価は良好で, 患者さんの満足が得られた. |
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| ISSN: | 0915-5988 |