B-36. 超音波パワードプラ法による舌癌の血流診断

【目的】癌組織は血管の密度が高く, その血管の構造が惰弱で多様な分岐像を示すことが知られている. また近年, 癌の成長と腫瘍血管新生との関係についての解析が行われ, 診断・治療への応用が進められている. しかし, その多くは病理組織学的微小血管密度と予後因子の解析であり, 実際の生体内における腫瘍の血管密度の研究はほとんどなされていない. 今回私たちは超音波パワードプラ法による舌癌の血流信号の解析を行ったのでその概要を報告する. 【対象・方法】外科的に切除し病理組織学的診断の得られた舌扁平上皮癌11例を対象とした. 口腔内走査法により舌癌のBモード画像およびパワードプラ法による血流信号を検出・...

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 17; no. 3; p. 168
Main Authors 山根正之, 石井純一, 石川均, 望月美江, 道泰之, 鵜澤成一, 鈴木鉄夫, 山城正司, 岩城博, 天笠光雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔腫瘍学会 2005
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ISSN0915-5988

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Summary:【目的】癌組織は血管の密度が高く, その血管の構造が惰弱で多様な分岐像を示すことが知られている. また近年, 癌の成長と腫瘍血管新生との関係についての解析が行われ, 診断・治療への応用が進められている. しかし, その多くは病理組織学的微小血管密度と予後因子の解析であり, 実際の生体内における腫瘍の血管密度の研究はほとんどなされていない. 今回私たちは超音波パワードプラ法による舌癌の血流信号の解析を行ったのでその概要を報告する. 【対象・方法】外科的に切除し病理組織学的診断の得られた舌扁平上皮癌11例を対象とした. 口腔内走査法により舌癌のBモード画像およびパワードプラ法による血流信号を検出・記録した. 対照として健側の舌も同様に走査し記録した. 超音波診断装置はアロカSSD-5500V, 探触子はUST-547を使用した. 【結果】腫瘍辺縁から腫瘍内部の血流信号の出現が6例に認められた(peripheral or aberrant vascularity). しかし対照となる健側舌には血流信号は認められなかった. また腫瘍の血流信号が認められなかった5例は超音波診断による深達度が5mm以下の症例であった. 以上よりパワードプラ法により検出された血流信号は腫瘍増殖に伴う血管新生を反映していることが推測された.
ISSN:0915-5988