C-31. 唾液腺悪性腫瘍における免疫化学的検討
唾液腺の悪性腫瘍である腺様嚢胞癌は周囲組織へ顕著な浸潤性増殖と高率の遠隔転移を示し, 予後は不良とされている. 【目的】唾液腺悪性腫瘍である腺様嚢砲癌および粘表皮癌について, 細胞外マトリックスの中で基底膜構成成分である Type IV collagen, lamininとその分解酵素である u-PA familyの発現様式について比較検討した. 【対象】腺様嚢砲癌14例, 粘表皮癌17例, 多形性腺腫28例とした. 腺様嚢胞癌の転移症例は, 9/14例, 粘表皮癌は8/17例で, 転移においての有意差は認めなかった. 【方法】免疫組織化学的染色を ENVISION Systemを用い, 1次...
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| Published in | 日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 15; no. 3; p. 131 |
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| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本口腔腫瘍学会
2003
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0915-5988 |
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| Summary: | 唾液腺の悪性腫瘍である腺様嚢胞癌は周囲組織へ顕著な浸潤性増殖と高率の遠隔転移を示し, 予後は不良とされている. 【目的】唾液腺悪性腫瘍である腺様嚢砲癌および粘表皮癌について, 細胞外マトリックスの中で基底膜構成成分である Type IV collagen, lamininとその分解酵素である u-PA familyの発現様式について比較検討した. 【対象】腺様嚢砲癌14例, 粘表皮癌17例, 多形性腺腫28例とした. 腺様嚢胞癌の転移症例は, 9/14例, 粘表皮癌は8/17例で, 転移においての有意差は認めなかった. 【方法】免疫組織化学的染色を ENVISION Systemを用い, 1次抗体として, NF-κB, u-PA, u-PAR, PAI-1, Type IV collagen, lamininγ2を用いた. 【結果】NF-κBでは, 多形性腺腫と比較して腺様嚢胞癌, 粘表皮癌はともに発現に大きな違いは認めなかった. u-PAでは, 多形性腺腫と比較して, 腺様嚢胞癌, 粘表皮癌はともに有意に発現症例は多かった. u-PARでは, 多形性腺腫と比較して, 腺様嚢砲癌は発現に大きな違いは認めないが, 粘表皮癌は, 有意に発現症例は少なかった. PAI-1では, 発現に大きな違いは認めなかった. Type IV collagenでは, 多形性腺腫と比較して, 腺様嚢胞癌は, 発現に大きな違いは認めないが, 粘表皮癌は有意に発現症例は少なかった. lamininγ2では多形性腺腫と比較して, 腺様嚢胞癌, 粘表皮癌はともに有意に発現症例は少なかった. 【まとめ】1, 腺様嚢胞癌と粘表皮癌は, 多形性腺腫と比較してu-PAの陽性症例は有意に多いが, lamininγ2の陽性症例は有意に少なかった. 2, 腺様嚢胞癌と粘表皮癌では転移率に有意差を認めないが, Type IV collagenの陽性症例は腺様嚢胞癌で有意に多かった. 以上のことから, 腺様嚢胞癌は, 粘表皮癌と比較して転移が多いにもかかわらず, 細胞外マトリックスの陽性症例率が高いのは, u-PAの発現が関わっているのではないかと推察された. 「質問」[兵庫医大・歯口外 橋谷進]腺様嚢胞癌でのtype別分類は考察されていますでしょうか. 「回答」[岡山大・歯顎口腔病態外科学 田村彰規]腺瘍嚢胞癌の組織学的分類に分けての検索はしておりません. 「質問」記録なし「応答」[岡山大・歯顎口腔病態外科学 田村彰規]腺様嚢胞癌は, 粘表皮癌と比較して, u-PAの発現症例は有意に多かったです. |
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| ISSN: | 0915-5988 |