5. チタン表面の破骨細胞への影響

「I. 目的」インプラント治療においてオッセオインテグレーション獲得の制御は非常に重要である. このため埋入初期に骨芽細胞の接着や分化等を調節する目的で, チタン表面性状の改質や種々の表面処理, 修飾法が検討されている. しかしながら, チタン表面と破骨細胞に関する報告は少ない. そこで本研究は, チタン表面粗さと破骨細胞関連蛋白を固定化したチタン表面が, 破骨細胞の分化にどのような影響を与えるかについて検討した. 「II. 方法」本実験には Receptor Activator of NF-kB Lgand(RANKL)の存在下で, 破骨細胞の分化過程を再現できるRAW264.7を用いた....

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Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 52; no. 2; p. 265
Main Authors 牧平清超, 二川浩樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本補綴歯科学会 2008
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ISSN0389-5386

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Summary:「I. 目的」インプラント治療においてオッセオインテグレーション獲得の制御は非常に重要である. このため埋入初期に骨芽細胞の接着や分化等を調節する目的で, チタン表面性状の改質や種々の表面処理, 修飾法が検討されている. しかしながら, チタン表面と破骨細胞に関する報告は少ない. そこで本研究は, チタン表面粗さと破骨細胞関連蛋白を固定化したチタン表面が, 破骨細胞の分化にどのような影響を与えるかについて検討した. 「II. 方法」本実験には Receptor Activator of NF-kB Lgand(RANKL)の存在下で, 破骨細胞の分化過程を再現できるRAW264.7を用いた. はじめに, チタン表面粗さが破骨細胞の分化にどのような影響を与えるかについて検討した. 次にRANKLのデコイレセプターであるOsteoprotegerin(OPG)を表面に固定したチタンを製作し, RANKL存在下でのRAW264.7細胞の分化に与える影響について検討した. 「III. 結果と考察」表面粗さが大きいチタンは, RANKL添加によるRAW264.7細胞のTRAPおよびcathepsin Kの遺伝子発現を促進した. 固定化したOPGは, RANKL添加によるRAW264.7細胞のTRAPおよびcathepsin K mRNAの発現を有意に抑制した. 以上より, チタン表面粗さは, これまで報告されている骨芽細胞だけではなく破骨細胞の分化にも大きな影響を与え, 破骨細胞関連蛋白をチタン表面に固定することによって骨芽細胞と破骨細胞のバランスを調節できる可能性が示唆された.
ISSN:0389-5386