4. 認知症高齢者の全身状態および介護状態と口腔内状態との関係
「I. 目的」近年の高齢化率の増加にともない, 高齢者に対する施設介護が充実化されつつあるが, 歯の欠損をともなうことの多い高齢者において, 栄養摂取を行ううえで義歯の果たす役割が重要ではないかと考えられる. 本研究では認知症高齢者の全身状態, 食事の介護状態および口腔内状態に関する調査を行い, これらの関連性について分析を行った. 「II. 対象と方法」調査対象は, 広島市内の特養2施設, 老人保健施設, およびグループホームの計4施設の入所者192名である. 義歯使用状況に関する調査, 食事の自立度および食事形態, N-ADL, NMスケール, 臨床検査値等の全身状態の評価を行い, 口腔内...
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Published in | 日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 52; no. 2; p. 260 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本補綴歯科学会
2008
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0389-5386 |
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Summary: | 「I. 目的」近年の高齢化率の増加にともない, 高齢者に対する施設介護が充実化されつつあるが, 歯の欠損をともなうことの多い高齢者において, 栄養摂取を行ううえで義歯の果たす役割が重要ではないかと考えられる. 本研究では認知症高齢者の全身状態, 食事の介護状態および口腔内状態に関する調査を行い, これらの関連性について分析を行った. 「II. 対象と方法」調査対象は, 広島市内の特養2施設, 老人保健施設, およびグループホームの計4施設の入所者192名である. 義歯使用状況に関する調査, 食事の自立度および食事形態, N-ADL, NMスケール, 臨床検査値等の全身状態の評価を行い, 口腔内状態と食事の介護状態, 食事の介護状態と全身状態, および口腔内状態と全身状態との関連の有無について分析を行った. 「III. 結果および考察」義歯が必要でかつ義歯を使用していない者では義歯使用者よりも食事の介護度が高かった. 食事の介護度が高い者では, 上体の脂肪の蓄積度および臨床検査値のうち血清アルブミ値のみが小さく, N-ADLおよびNMスケールの値が小さかった. 義歯使用者および, とくに義歯が必要でかつ義歯を使用していない者では, 義歯が不要な者と比べて上体の脂肪の蓄積度が低かった, 入所者の身体の活動能力や認知症の程度に応じて, 食事の工夫がなされていたが, 栄養摂取を行ううえでは, 義歯の果たす役割が有効であることが推察された. |
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ISSN: | 0389-5386 |