6. 電気的除細動抵抗性院外心停止例に対するIII群静注薬ニフェカラントの効果・安全性に関する多施設共同レジストリ研究(J-PULSE II)

【背景】ニフェカラントは, 我が国で開発されたIII群静注抗不整脈薬である. 治療抵抗性の致死的不整脈(心室頻拍;VT, 心室細動;VF)に対して適応があり, その投与は心停止に陥った危機的状態において考えられる最大限の除細動治療の1つといえる. ニフェカラントは, 純粋なK+チャネル遮断薬であり, 心機能への悪影響が少ない, 除細動閾値を改善させるなど, 同じIII群薬であるアミオダロンとは異なる特性を有している. 【目的】院外心停止症例を対象に電気的除細動(DC)補助手段としてニフェカラント使用実態を調査し, その有効性と安全性について検討する. 【方法】多施設共同レジストリ研究(国立循環...

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Published in心電図 Vol. 29; no. 1; pp. 44 - 49
Main Authors 安田聡, 澤野宏隆, 筈井寛, 鵜飼勲, 横山広行, 嘉田晃子, 大橋潤子, 佐瀬一洋, 野々木宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心電学会 2009
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ISSN0285-1660

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Summary:【背景】ニフェカラントは, 我が国で開発されたIII群静注抗不整脈薬である. 治療抵抗性の致死的不整脈(心室頻拍;VT, 心室細動;VF)に対して適応があり, その投与は心停止に陥った危機的状態において考えられる最大限の除細動治療の1つといえる. ニフェカラントは, 純粋なK+チャネル遮断薬であり, 心機能への悪影響が少ない, 除細動閾値を改善させるなど, 同じIII群薬であるアミオダロンとは異なる特性を有している. 【目的】院外心停止症例を対象に電気的除細動(DC)補助手段としてニフェカラント使用実態を調査し, その有効性と安全性について検討する. 【方法】多施設共同レジストリ研究(国立循環器病センター, 千里救命救急センター, 三島救命救急センター, 大阪大学高度救命救急センター). 対象は, (1)3回のDC, エピネフリン静注およびその処置移行のDCに抵抗を示す院外心停止症例, (2)生存例については患者自身より同意を得られた場合(ただし患者の状態によっては家族などの代諾者からの文書同意でも可)とし, 生存入院を主要評価項目として検討した. 【結果】2006年2月目2007年2月にかけて23症例(男性21例, 女性2例, 66±12[SD]歳)が仮登録され, うち2症例は同意が得られず, 3症例が除外基準に抵触した. 解析対象となった18症例(初期ECG波形:VF13例, 心静止3例, その他2例)のうち, Dr.Car使用は8例(61%), 生存入院は13症例(72%)であった. 覚知からニフェカラント使用までの時間は38.5分, 使用量は25mg(いずれも中央値)であった. QT延長に伴うtorsade de pointes(TdP)が認められたのは1例のみであった. 【総括】院外心停止例に対するニフェカラント投与後のQT延長・TdPの合併は少数であった. 今回の多施設共同レジストリ研究では, ニフェカラント投与はDCの有望な補助手段である可能性が示唆された.
ISSN:0285-1660