椎体下垂を来した第5腰椎脱臼骨折の1例
「はじめに」比較的稀とされる第5腰椎脱臼骨折による脊髄損傷の1例を経験したので, 報告する. 症例 症例:32歳, 男性 主訴:著明な腰背部痛, 左膝痛, 両下肢麻痺 現病歴:平成8年8月, 約10mの高さより500kgの重量物が落下し, 腰背部を直撃し受傷し, 直後に当院搬入となる. 初診時所見:中背部にデグロービング様の激しい挫創, 擦過創を認めた. 搬入時, 球海綿体反射は認めないが, 会陰部知覚, 肛門括約筋の随意収縮を認め, ASIA impairment scale Bと診断した. 右腓骨骨折, 左膝蓋骨骨折を合併していた. 画像所見:腰椎X線像にて, L5が仙椎に対し, 前下方に...
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| Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 47; no. 3; pp. 973 - 974 |
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| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
西日本整形・災害外科学会
1998
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0037-1033 |
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| Summary: | 「はじめに」比較的稀とされる第5腰椎脱臼骨折による脊髄損傷の1例を経験したので, 報告する. 症例 症例:32歳, 男性 主訴:著明な腰背部痛, 左膝痛, 両下肢麻痺 現病歴:平成8年8月, 約10mの高さより500kgの重量物が落下し, 腰背部を直撃し受傷し, 直後に当院搬入となる. 初診時所見:中背部にデグロービング様の激しい挫創, 擦過創を認めた. 搬入時, 球海綿体反射は認めないが, 会陰部知覚, 肛門括約筋の随意収縮を認め, ASIA impairment scale Bと診断した. 右腓骨骨折, 左膝蓋骨骨折を合併していた. 画像所見:腰椎X線像にて, L5が仙椎に対し, 前下方に骨折脱臼し, L5は椎体下垂(Spondylo ptosis)となっていた. L3からL5にかけての椎弓, 横突起の骨折も認めた. CTにても同様にL5の脱臼骨折を認め, 同一スライス上にL5とSIの椎体が存在した. またL5椎弓の粉砕骨折を認めた(図1). しかし椎体が骨折して前方に下垂し, 椎弓は後方に残存していたため, 椎孔の狭窄は認めなかった. 翌日, 両大腿骨下端での鋼線牽引を行い, 脊柱のcounter tractionを施行し整復操作を試みた. 22kgの牽引と腰仙椎を反張位にすることにより比較的良好な整復位を得ることが可能であった(図2). 受傷から約1カ月経過し, 腰背部の開放創が治癒したところでpedicle screw systemによる固定を行った. |
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| ISSN: | 0037-1033 |