分娩後発症腰痛遷延例の検討

【目的】分娩後発症の腰痛の多くは数ヵ月以内に軽快するが, 遷延した例について検討した. 【対象および方法】腰痛が, 1年以上持続した経産婦23例について過去の腰痛歴, 出産歴, 理学所見, 腰椎および骨盤のX線検査所見について調べた. 【結果】罹病期間は平均6.9年と長期化している例が多く, 疼痛は臀部または臀部から腰椎全体にわたり, 圧痛は22例で仙腸関節に限局した. 腰痛を悪化させる姿勢としては立位, 歩行, 仰臥位, 側臥位で, 歩行は大股が困難であった. 片脚起立骨盤X線像で恥骨結合部に2mm以上のずれを11例に認めた. 治療は, 13例に仙腸関節を中心に軟性の骨盤ベルトを装着し, 有...

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Published in日本腰痛学会雑誌 Vol. 10; no. 1; p. 174
Main Authors 瀬尾理利子, 久野木順一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腰痛学会 2004
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ISSN1345-9074

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Summary:【目的】分娩後発症の腰痛の多くは数ヵ月以内に軽快するが, 遷延した例について検討した. 【対象および方法】腰痛が, 1年以上持続した経産婦23例について過去の腰痛歴, 出産歴, 理学所見, 腰椎および骨盤のX線検査所見について調べた. 【結果】罹病期間は平均6.9年と長期化している例が多く, 疼痛は臀部または臀部から腰椎全体にわたり, 圧痛は22例で仙腸関節に限局した. 腰痛を悪化させる姿勢としては立位, 歩行, 仰臥位, 側臥位で, 歩行は大股が困難であった. 片脚起立骨盤X線像で恥骨結合部に2mm以上のずれを11例に認めた. 治療は, 13例に仙腸関節を中心に軟性の骨盤ベルトを装着し, 有効であった. 【考察】当センター990例中, 6ヵ月以上疼痛が持続したものが12.2%で, 今回の検討からも出産は女性の慢性腰痛の危険因子と考えられた. 【まとめ】分娩後発症腰痛の慢性化を予防するために, 整形外科医が積極的に介入する必要があると思われた.
ISSN:1345-9074