1-A-11.治療計画立案時の術中出血に関する問題点

出血傾向や輸血に関する問題が術前に判明し, 対応に苦慮した症例について報告した. 症例1:16歳, 女性. 再生不良性貧血で経過観察中. 上顎前突の主訴で歯科矯正医を受診. 上顎前突の診断で治療開始後に外科的矯正のため当科へ紹介初診. 小児科主治医と相談の結果, 白血球数と赤血球数の低下はあるが手術に耐えうると判断されたが, 術後白血球数, 赤血球数は一過性に低下した. 症例2:17歳女性. 中2頃から歯科矯正医で上顎後退症, 下顎 前突症, 顔面非対称の診断で術前矯正後, 当科紹介. 術前検査でAPTT活性54%と判明. 手術延期し, 精査したが, 異常の原因不明. 低血圧麻酔下で上下顎移動...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 10; no. 2; p. 174
Main Authors 式守道夫, 村井睦彦, 山口万枝, 福田廣志, 橋本賢二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 2000
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ISSN0916-7048

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Summary:出血傾向や輸血に関する問題が術前に判明し, 対応に苦慮した症例について報告した. 症例1:16歳, 女性. 再生不良性貧血で経過観察中. 上顎前突の主訴で歯科矯正医を受診. 上顎前突の診断で治療開始後に外科的矯正のため当科へ紹介初診. 小児科主治医と相談の結果, 白血球数と赤血球数の低下はあるが手術に耐えうると判断されたが, 術後白血球数, 赤血球数は一過性に低下した. 症例2:17歳女性. 中2頃から歯科矯正医で上顎後退症, 下顎 前突症, 顔面非対称の診断で術前矯正後, 当科紹介. 術前検査でAPTT活性54%と判明. 手術延期し, 精査したが, 異常の原因不明. 低血圧麻酔下で上下顎移動術を実施. 自己血および回収血の輸血で対応. 症例3:16歳男性. 開咬症, 小下顎症の診断で矯正治療開始. 外科的矯正の検討依頼で初診. 手術説明後に, 輸血に関する宗数的問題のあることが判明. 輸血について両親は拒否, 患者自身は回避希望. 手術は上顎歯槽骨切り術とオトガイ形成術を併用した. 症例4:17歳女性. 下顎前突症の診断で, 外科的矯正の相談で初診. 最終的に下顎枝矢状分割術とした. 体外循環での回収血液のみ輸血可能と両親から承諾があり, 1996年骨切り術を実施し, 術中出血1450gで, 術後Hb6.5mg/dl, Ht19.7%まで低下するも輸血せず徐々に改善. 考察:外科的矯正では歯科矯正医は出血輸血についての問診と口腔外科においても術前検討が重要と考えられた.
ISSN:0916-7048