2 褥瘡患者の栄養状態と栄養量の現状

【目的】 褥瘡対策に栄養改善が重要であることは充分に認識されているが, 当院では褥瘡患者に対するNST介入の依頼はこれまであまりなかった. そこで20年度NST委員会の目標のひとつに, 褥瘡患者の栄養状態, 基礎エネルギー量, 必要エネルギー量, 摂取量を栄養レポートとして提出することをあげ褥瘡対策委員会と連携し活動してきた. 今回その実態について調査し検討したので報告する. 【方法】 平成20年4月から21年1月まで当院における褥瘡患者72名(うち院内発生33名)について, 発生部位, 原疾患, 栄養法, 転帰について調査した. そのうち身体計測により, 必要エネルギーが推測できた58名につ...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 58; no. 1; pp. 23 - 24
Main Authors 滝脇久美子, 竹上典美, 肥後直子, 伊藤みゆき, 西村あつみ, 伊藤真弓, 酒井真紀, 林恵美, 気賀澤千香, 北沢恵里, 井口幸子, 座光寺知恵子, 森川明男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 2010
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ISSN0037-3826

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Summary:【目的】 褥瘡対策に栄養改善が重要であることは充分に認識されているが, 当院では褥瘡患者に対するNST介入の依頼はこれまであまりなかった. そこで20年度NST委員会の目標のひとつに, 褥瘡患者の栄養状態, 基礎エネルギー量, 必要エネルギー量, 摂取量を栄養レポートとして提出することをあげ褥瘡対策委員会と連携し活動してきた. 今回その実態について調査し検討したので報告する. 【方法】 平成20年4月から21年1月まで当院における褥瘡患者72名(うち院内発生33名)について, 発生部位, 原疾患, 栄養法, 転帰について調査した. そのうち身体計測により, 必要エネルギーが推測できた58名について身体計測値, 摂取量, 充足率を調査した. 【結果】 当院の褥瘡患者の平均年齢は80.2歳と高齢であり, 発生部位は仙骨部35%, 踵部19%, 大転子12%に多く, 科別にみると内科62%, 脳外科26%がほとんどを占め, ステージ別ではステージIIが71%であった. 平均BMIは18.7±2.41, 平均ALB値は2.9±0.47g/dl, 平均Hb値10.7±1.81g/dl, 栄養量の充足率は80%であった. 栄養法では経口摂取46%, 経腸栄養21%, PPN14%, TPN 7%で, 栄養状態は経腸栄養が若干良好な傾向であった. 転帰では治癒47%, 軽快18%, 不変25%, 増悪10%であった. 経口摂取での食事内容は嚥下食がもっとも多く, 食欲不振, 認知症も重なり褥瘡治癒に必要な微量栄養素が不足しがちであった. 経腸栄養においても下痢, 嘔吐の合併症により, 必要量が満たされない現状もあった. 【考察】 褥瘡患者の栄養レポートを提出することで, 栄養状態と栄養量について病棟での検討資料を提供することができた. 褥瘡患者は高齢なうえ主病状も重篤であることが多く, 早期に介入し適正な栄養法と栄養量を確保することが必要と考える.
ISSN:0037-3826