6)Marinesco-Sjogren症候群と考えられた1剖検例

症例は死亡時56歳男性. 兄に類症あり. 生直後よりけいれん発作を認め, 運動発達の遅延があった. 6, 12歳時に白内障の手術を受けた. 特殊学級だったが, 中学3年時にマッサージ師の資格を取得. 兄と二人で暮らしていたが, 42歳時に施設へ入所. 入所時, IQ59で, 側彎, 四肢の軽度筋力低下, 弱視を認め, 杖歩行だった. 44歳時には高口蓋, 全方向の眼球運動制限, 腱反射亢進, 病的反射, 体幹失調, 尖足も指摘された. 四肢の筋力低下や構音, 嚥下障害が進行し, 46歳時より車椅子を使用, 54歳時より経管栄養となった. 56歳でCO2ナルコーシスにて死亡. 20時間後に全身解...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 54; no. 4; pp. 239 - 240
Main Authors 坂井健二, 他田真理, 高橋均, 米持洋介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 2006
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ISSN0037-3826

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Summary:症例は死亡時56歳男性. 兄に類症あり. 生直後よりけいれん発作を認め, 運動発達の遅延があった. 6, 12歳時に白内障の手術を受けた. 特殊学級だったが, 中学3年時にマッサージ師の資格を取得. 兄と二人で暮らしていたが, 42歳時に施設へ入所. 入所時, IQ59で, 側彎, 四肢の軽度筋力低下, 弱視を認め, 杖歩行だった. 44歳時には高口蓋, 全方向の眼球運動制限, 腱反射亢進, 病的反射, 体幹失調, 尖足も指摘された. 四肢の筋力低下や構音, 嚥下障害が進行し, 46歳時より車椅子を使用, 54歳時より経管栄養となった. 56歳でCO2ナルコーシスにて死亡. 20時間後に全身解剖が行われた. 病理学的には, 固定前脳重は1,180gで, 小脳と橋被蓋部の萎縮が明らかだった(脳幹, 小脳130g)が, 大脳は尋常. 光顕では, 前頭葉皮質で柱状配列の乱れ, 大型神経細胞の散在といったcortical dysplasiaの所見を認めた. 小脳ではPurkinje細胞の高度な脱落とBergmannグリアの増生, 歯状核のグリオーシスが認められた. 脳幹部では中脳水道周囲灰白質, 網様体, 中心被蓋路のグリオーシスを認めた.
ISSN:0037-3826