4 ERCP後急性重症膵炎を合併した胆管癌に対する,膵頭十二指腸切除後経腸栄養の経験

症例は61歳男性および69歳男性の2例. いずれも閉塞性黄疸にて入院し, 胆管癌の診断にてENBDを施行し, ERCP後1日目に重症急性膵炎(Stage2, CT Grade IV)を発症した. 保存的治療にて黄疸とCT像の改善を待ち, ERCP後42日目および35日目に膵頭十二指腸切除術を施行した. 膵臓および膵周囲組織の壊死組織を可及的に切除した. 術後3病日より成分栄養剤エレンタールによる経管栄養を開始し, 術後7日目に経口摂取を開始した. 術後の腹水アミラーゼは最高4,224IU/リットルと38,302IU/リットルであった. しかし, 他に重篤な合併症なく, 順調に軽快し, 術後第5...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 54; no. 2; pp. 110 - 111
Main Authors 駒津和宣, 横山隆秀, 林賢, 阿藤一志, 森川明男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 2006
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ISSN0037-3826

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Summary:症例は61歳男性および69歳男性の2例. いずれも閉塞性黄疸にて入院し, 胆管癌の診断にてENBDを施行し, ERCP後1日目に重症急性膵炎(Stage2, CT Grade IV)を発症した. 保存的治療にて黄疸とCT像の改善を待ち, ERCP後42日目および35日目に膵頭十二指腸切除術を施行した. 膵臓および膵周囲組織の壊死組織を可及的に切除した. 術後3病日より成分栄養剤エレンタールによる経管栄養を開始し, 術後7日目に経口摂取を開始した. 術後の腹水アミラーゼは最高4,224IU/リットルと38,302IU/リットルであった. しかし, 他に重篤な合併症なく, 順調に軽快し, 術後第50病日および第44病日に軽快退院となった. 重篤な患者に対して早期経管栄養を行うことにより合併症の発生率が低下すると報告されている. 今回の症例でも比較的早期より経管栄養を導入したことが順調な術後経過につながったと考えられた.
ISSN:0037-3826