7. 血液透析患者の口腔健康状態とQOLの関係について

血液透析患者のQOLは, 透析治療に伴う様々な要因で低下するという報告がある. 本研究では, 血液透析患者の口腔健康状態とQOLの関係を明らかにすることで, 歯科の立場から血液透析患者のQOLの向上に寄与できる可能性を探ることを目的とした. 北九州市内にある小倉第一病院で血液透析を受けている患者(平均年齢65.2±13.0, 男性135名, 女性86名)を対象に, 口腔健康状態の診査, アンケート, SF36を用いたQOLの調査を行った. その結果, 現在歯数が多くなるほど身体機能に関連するQOLは高くなり, 透析期間が長期になり, 安静時唾液分泌が少なく, 口腔乾燥感の強い人ほど体の痛みに関...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 63; no. 3; pp. 145 - 146
Main Authors 寺谷豪, 粟野秀慈, 中村秀敏, 木下直昌, 濱嵜朋子, 邵仁浩, 吉田明弘, 安細敏弘, 竹原直道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 2009
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ISSN0368-6833

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Summary:血液透析患者のQOLは, 透析治療に伴う様々な要因で低下するという報告がある. 本研究では, 血液透析患者の口腔健康状態とQOLの関係を明らかにすることで, 歯科の立場から血液透析患者のQOLの向上に寄与できる可能性を探ることを目的とした. 北九州市内にある小倉第一病院で血液透析を受けている患者(平均年齢65.2±13.0, 男性135名, 女性86名)を対象に, 口腔健康状態の診査, アンケート, SF36を用いたQOLの調査を行った. その結果, 現在歯数が多くなるほど身体機能に関連するQOLは高くなり, 透析期間が長期になり, 安静時唾液分泌が少なく, 口腔乾燥感の強い人ほど体の痛みに関連するQOLが低くなる傾向がみられた. また, 口腔乾燥感の強い人は活力, 社会生活機能, 心の健康に関連するQOLが低くなる傾向も認められた. このことより, 現在歯数の維持, 唾液分泌の促進, 口腔乾燥感の軽減を図ることで血液透析患者のQOLを向上させる可能性が示唆された.
ISSN:0368-6833