24. 前橋赤十字病院における門脈圧亢進症患者のIVR治療の現況について
肝硬変を主とする門脈圧亢進症患者には, 食道胃静脈瘤, 腹水, 汎血球減少症といった様々な病態が存在する. 我々は, これらの病態に対し経カテーテル的治療を積極的に導入してきた. 1999年に当科が施行した腹部血管造影は280件. 内訳は, 検査目的造影が22件, 肝癌(破裂を含む)治療が242件, 胃静脈瘤治療が14件, 部分的脾動脈塞栓術(PSE)が2件であった. 胃静脈瘤治療のうちバルーン下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)が13件, 経皮経肝門脈側副血行路塞栓術(PTO)が1件であった. 難治性腹水患者2例に日本医科大学第三内科の金沢講師に依頼し経皮的肝内門脈肝静脈短絡術(TIPS)が施...
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          | Published in | The KITAKANTO Medical Journal Vol. 50; no. 5; p. 464 | 
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| Main Authors | , , , , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            北関東医学会
    
        2000
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| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 1343-2826 | 
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| Summary: | 肝硬変を主とする門脈圧亢進症患者には, 食道胃静脈瘤, 腹水, 汎血球減少症といった様々な病態が存在する. 我々は, これらの病態に対し経カテーテル的治療を積極的に導入してきた. 1999年に当科が施行した腹部血管造影は280件. 内訳は, 検査目的造影が22件, 肝癌(破裂を含む)治療が242件, 胃静脈瘤治療が14件, 部分的脾動脈塞栓術(PSE)が2件であった. 胃静脈瘤治療のうちバルーン下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)が13件, 経皮経肝門脈側副血行路塞栓術(PTO)が1件であった. 難治性腹水患者2例に日本医科大学第三内科の金沢講師に依頼し経皮的肝内門脈肝静脈短絡術(TIPS)が施行された. PSEは門脈圧亢進症に付随する症状すべてが適応になるが, 我々は, 観血的処置が必要な, または出血の臨床症状を有する血小板減少患者をおもな適応と考えている. 提示症例は血小板9000/μlから翌日には25000/μl, 一週間後には39000/μlまで上昇し, 血尿, 鼻出血が消失した. 胃静脈瘤出血患者は, 内視鏡的結繋術での一時止血後, BRTOでの追加治療を施行している. BRTOの効果は確実で侵襲も少なく, 提示した症例の在院日数は11日間であった. 胃静脈瘤排血路に選択的挿入ができない症例や, 複雑な側副血行路のため供血路まで塞栓できない例には, 外科的治療かPTOによる治療が適応になる. 提示したPTO症例は後胃静脈をコイル塞栓後, 左胃静脈よりエタノールアミンオレートを逆行性に胃静脈瘤内に投与した後, 事事静脈をコイル塞栓した. 難治性腹水患者は食事摂取量低下, 歩行困難頻繁な穿刺排腋でQOLは著しく損なわれる. TIPSは肝静脈と門脈の短絡路を肝内で形成し門脈圧を下げ腹水, 静脈瘤の改善に有効である. 提示例でも門脈圧の低下とともに腹水, 静脈瘤は著明に改善した. 食事摂取量の回復とともに肝予備能が改善し, 四肢筋量の回復, 肝性脳症の改善までもが認められQOLは大幅に向上した. | 
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| ISSN: | 1343-2826 |