1. GERDと気管支喘息

最近逆流性食道症(Gastro-Esophageal Reflux Disease)と咳漱との関係が注目されている. 咳漱の原因の一つに気管支喘息がある. 我々は呼吸器専門病院である当院を受診した患者について, 問診票Questと内視鏡を用いてGERDと気管支喘息の関係を検討した. GERDの成因については本邦では(1)一過性のLower Esophageal sphincter(LES)の弛緩(2)一過性腹圧上昇(3)自然の逆流が考えられているが, 外国では自律神経系異常が成因の一つに加えられている. そこでクエストの他にVagolT, Latent vagalTをEKGで調べてみた. T波...

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Published inThe KITAKANTO Medical Journal Vol. 50; no. 5; p. 455
Main Authors 大木一郎, 長島真美子, 徳島眞彦, 大沢雄二郎, 小林節雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 2000
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ISSN1343-2826

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Summary:最近逆流性食道症(Gastro-Esophageal Reflux Disease)と咳漱との関係が注目されている. 咳漱の原因の一つに気管支喘息がある. 我々は呼吸器専門病院である当院を受診した患者について, 問診票Questと内視鏡を用いてGERDと気管支喘息の関係を検討した. GERDの成因については本邦では(1)一過性のLower Esophageal sphincter(LES)の弛緩(2)一過性腹圧上昇(3)自然の逆流が考えられているが, 外国では自律神経系異常が成因の一つに加えられている. そこでクエストの他にVagolT, Latent vagalTをEKGで調べてみた. T波が5mmを越えるものをLVTとした. 内視鏡による判定基準は星原分類を用いた. 結果, 過去2年間に撮影されたZ-lineが明瞭に撮影されている内視鏡フイルム259列についてみるとGradeN183例(70. 6%)GradeM46例(17. 8)GA14例(5.4)G. B9(3. 5)G. C5(1.9)G.D2(0. 8)で76/259(29. 3%)が逆流(+)であった. 喘息患者50例についてみるとN21例(42, 0)M12例(24. 0)A6例(12.0)B8例(16. 0)C1例(2. 0)D2例(4. 0)29/50(58%)が逆流(+)であった. 消化器疾患は13/41(31. 7%)が, 喘息以外の呼吸器疾患は5/9(55. 6%)が逆流(+)であった. クエストをとった62例では陽性37例中27例(73%)が気管支喘息であり, 陰性25例中18列(72%)にも気管支喘息が含まれていた. 気管支喘息45例中27例(60%)がクエスト(+)であった. クエストとEKGをとった34例ではQS(+)LVT(+)の11例中10例(90. 9%)に喘息(+), QS(-), LVT(-)で10例中1例に喘息が含まれていた. 結論(1)気管支喘息患者では内視鏡で58%, QSで60%がGERD(+)と判定され, 内視鏡とQSでほぼ一致した成績が得られた. T波が5mm以上でQS(+)のものは90%に気管支喘息がみられ, 気管支喘息患者には迷走神経緊張型が存在すると推定された.
ISSN:1343-2826