III-5 臨床看護師の怒りの喚起場面の対処による不全感 -その背景の一考察
看護職の役割における感情労働は, 様々な期待が複雑に作用しあい容易ではない. そのため感情労働の問題を背景にある病院文化との関連で検討することは, 解決策を考える上で意義がある. そこで, 一般病棟に勤務する女性看護師の怒りの喚起場面の対処における不全感を感情管理の問題と捉え, 病院文化との関連で検討した. 25名に半構成的面接を行い, 内容を質的に分析したところ12名に対処への不全感があった. そのうち感情労働からの逃避に至った2事例について報告した. 分析の結果, 2事例より[感情規則は明文化されていない→個人の経験を共有し議論されない→個人の感情管理の妥当性を検討する方法や習慣の形成が不...
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| Published in | こころの健康 Vol. 23; no. 2; p. 69 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本精神衛生学会
2008
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0912-6945 |
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| Summary: | 看護職の役割における感情労働は, 様々な期待が複雑に作用しあい容易ではない. そのため感情労働の問題を背景にある病院文化との関連で検討することは, 解決策を考える上で意義がある. そこで, 一般病棟に勤務する女性看護師の怒りの喚起場面の対処における不全感を感情管理の問題と捉え, 病院文化との関連で検討した. 25名に半構成的面接を行い, 内容を質的に分析したところ12名に対処への不全感があった. そのうち感情労働からの逃避に至った2事例について報告した. 分析の結果, 2事例より[感情規則は明文化されていない→個人の経験を共有し議論されない→個人の感情管理の妥当性を検討する方法や習慣の形成が不十分である], [感情労働を巡る職員被害の防止の観点(実態把握, 組織的な防止対策)が不十分である]ことが明らかになった. 以上の結果より感情管理の問題を個人, 看護チーム, 病院組織で検討を積み重ね, 組織的対策の構築・開示が必要である. |
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| ISSN: | 0912-6945 |