巻頭言 臨床と研究と発明の立方体

最近の弁膜症に対する治療の進歩は著しく, 新しい生体弁・機械弁の開発や自己弁温存術式の発展により, 根治性を求める術式のみならず, より良いQOLを得るための術式が求められている. 僧帽弁領域で発達した弁形成術も近年, 大動脈弁閉鎖不全症に対して行われるようになってきたが, 大動脈弁狭窄症に対する形成術は未だ確立されていない. 大動脈弁狭窄症に対する形成術の歴史を見てみると, 1980年代後半から1990年代にはCavitron Ultrasonic Aspirator (CUSA)を使用して石灰化弁尖の石灰化を除去する方法がとられてきた. 確かに弁尖の可動性は改善し, 大動脈弁前後での圧格差...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in東邦医学会雑誌 Vol. 71; no. 4; pp. 175 - 176
Main Author 尾崎重之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 東邦大学医学会 01.12.2024
Online AccessGet full text
ISSN0040-8670

Cover

More Information
Summary:最近の弁膜症に対する治療の進歩は著しく, 新しい生体弁・機械弁の開発や自己弁温存術式の発展により, 根治性を求める術式のみならず, より良いQOLを得るための術式が求められている. 僧帽弁領域で発達した弁形成術も近年, 大動脈弁閉鎖不全症に対して行われるようになってきたが, 大動脈弁狭窄症に対する形成術は未だ確立されていない. 大動脈弁狭窄症に対する形成術の歴史を見てみると, 1980年代後半から1990年代にはCavitron Ultrasonic Aspirator (CUSA)を使用して石灰化弁尖の石灰化を除去する方法がとられてきた. 確かに弁尖の可動性は改善し, 大動脈弁前後での圧格差は減少し, 弁口面積の増大も認められた. しかしながら術後2年弱でARの増大を認め, ASに対して石灰化弁尖をCUSAにて除去する方法は中断されるようになった. また, 以前より大動脈弁閉鎖不全症に対してAortic cusp extensionという方法が施行されており, 中期遠隔成績は良好であるという多くの報告がある.
ISSN:0040-8670