O-2-4 胎児水腫に対するECMOの経験

【目的】 近年, 新生児ECMOの有用性は数多く報告されているが, 胎児水腫に対する報告はほとんどどみられない. 今回, 胸水による高度両側肺低形成を伴った非免疫性胎児水腫(NIHF)に対してV-A ECMOを施行したので報告する. 【症例】 NIHF, 両側肺低形成, 羊水過多, 骨盤位の出生前診断にて, 在胎35週3日, 男児, 2,950g, 身長45cmで出生となった. 【経過】 小児科, 小児外科, 胸部心臓血管外科, 麻酔科, 産婦人科, MEの合同検討会を行なった. 救命のためには分娩時に臍帯非切断下にて胎盤循環を維持した状態で気管挿管, 両側胸腔ドレナージを行い, 酸素加が困難...

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Published in体外循環技術 Vol. 37; no. 3; p. 268
Main Authors 青田恭朋, 梅田涼平, 瓦谷義隆, 秋田千里, 小林あずさ, 中村常之, 桑原強, 河野美幸, 伊川廣道, 秋田利明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 2010
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ISSN0912-2664

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Summary:【目的】 近年, 新生児ECMOの有用性は数多く報告されているが, 胎児水腫に対する報告はほとんどどみられない. 今回, 胸水による高度両側肺低形成を伴った非免疫性胎児水腫(NIHF)に対してV-A ECMOを施行したので報告する. 【症例】 NIHF, 両側肺低形成, 羊水過多, 骨盤位の出生前診断にて, 在胎35週3日, 男児, 2,950g, 身長45cmで出生となった. 【経過】 小児科, 小児外科, 胸部心臓血管外科, 麻酔科, 産婦人科, MEの合同検討会を行なった. 救命のためには分娩時に臍帯非切断下にて胎盤循環を維持した状態で気管挿管, 両側胸腔ドレナージを行い, 酸素加が困難な場合にECMO導入予定となった. 出生前診断よりECMO導入の可能性が高かったため, O型洗浄赤血球とAB型FFPの合成血にて充填後, サブラッドにて洗浄を行ない, 待機することとなった. 【結果】 娩出時の臍帯損傷により胎盤循環を維持できず, 気管内挿管, 両側胸腔ドレナージを試みたが, 低酸素による高度除脈となったため緊急でV-A ECMOを導入した. 浮腫軽減を目的にECUMで除水した. サーファクタントを投与し, バックで加圧したが, 両肺の膨らみは極めて不良であった. 又, 組織が非常に脆弱で出血傾向も著しく, ECMOの長期間維持は困難と判断し, ECMO離脱を行い, まもなく死亡された. 【考察】 大部分のNIHFは有効な治療法がなく, 死亡率70~90%とされる. 本症例の剖検肺の結果からも両肺は高度低形成であり人工呼吸器単独での救命は困難であった. 救命にはECMO管理下での肺の成熟が必要であるが, 本症例のように高度両側肺低形成を伴うNIHFに対するECMOの適応及び効果には更なる検討が必要と考えられた. 【結語】 今回, 胸水による両側肺低形成を伴ったNIHFに対してV-A ECMOを施行した. 新生児ECMOにおいて今後も症例を重ねて検討して行く方針である.
ISSN:0912-2664