S1-3 ICUにて人工心肺を施行した離脱困難症例の検討

【目的】ICUにて緊急止血再開胸術のため人工心肺にて循環停止とし, 大動脈の穿孔部位の修復をした極めて離脱の難しい症例を経験した. 【症例】CABG施行後, MRSA縦隔洞炎を発症した54歳, 男性. OMI, SMI, VT, s/p ICD, HT, CRFがあり, EF19%でNYHA II度であった. 【経過】本年3月にon pump beating CABGを施行, 術後21日目に心タンポナーデを発症し, 止血再開胸術を施行した. その後, MRSA縦隔洞炎を発症した. 術後33日目に縦隔洞炎による大動脈穿孔のため, ICUにて緊急止血再開胸術をし, 穿孔した箇所の修復を試みた. し...

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Published in体外循環技術 Vol. 33; no. 3; p. 261
Main Authors 北村麻未, 南茂, 五十嵐利博, 海老澤佳世, 石川直也, 江口友英, 尾関友紀, 黒澤博身, 青見茂之, 新岡俊治, 川合明彦, 山嵜健二, 斎藤聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 2006
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ISSN0912-2664

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Summary:【目的】ICUにて緊急止血再開胸術のため人工心肺にて循環停止とし, 大動脈の穿孔部位の修復をした極めて離脱の難しい症例を経験した. 【症例】CABG施行後, MRSA縦隔洞炎を発症した54歳, 男性. OMI, SMI, VT, s/p ICD, HT, CRFがあり, EF19%でNYHA II度であった. 【経過】本年3月にon pump beating CABGを施行, 術後21日目に心タンポナーデを発症し, 止血再開胸術を施行した. その後, MRSA縦隔洞炎を発症した. 術後33日目に縦隔洞炎による大動脈穿孔のため, ICUにて緊急止血再開胸術をし, 穿孔した箇所の修復を試みた. しかし, PCPSでは循環動態を維持できず, ICUにて人工心肺を装着し, 循環停止下に穿孔部位の修復をした. 右心房脱血, 大腿動脈送血にて人工心肺を開始し, 目標温度を34℃とし送血流量を少なくして修復を試みた. しかし, 穿孔部から血液が噴出し修復できないため温度を22℃~23℃とし, 循環停止下に修復をした. この時, 得られた情報は, 心電図, 血圧, 膀胱温のみであった. 【結果】患者の心機能が悪いことを考慮し, 麻酔科医がポータブルの経食道エコー装置を使って心機能を評価し, これに合わせて貯血レベルを慎重に調整した. 不慣れな環境であったが麻酔科医, 執刀医と密接に連携し, 約30分かけて離脱させた. 体外循環時間は132分, 循環停止時間は17分であった. 現在, 引き続きICUにて治療中である. 【考察】今回のようにICUで人工心肺を使用するような状況では, 患者情報が極端に少ないうえに患者の状態も悪く, モニターも不完全になる. 今回の症例では経食道エコーでの心機能評価とこれに合わせた貯血レベルの調整が非常に重要で, さらに体外循環技士, 麻酔科医, 執刀医と密接に連携できたことが離脱成功につながったと考えられる. 一方で, 人工心肺側で循環動態や心機能を評価できる混合静脈血酸素飽和度計をモニターできなかったことが反省点として挙げられる.
ISSN:0912-2664