3)p53遺伝子異常を伴う急性骨髄性白血病の臨床的特徴

目的:急性骨髄球性白血病(AML)について, 近年遺伝子変異による予後層別化が注目されている. 本研究ではp53遺伝子変異に着目し, その遺伝子変異および第17番染色体欠損の臨床的特徴と予後因子としての意義に関して検討した. 方法:対象は1986年から2008年までに当施設またはその関連施設におけるde novo AML 135例. p53遺伝子変異はdirect sequence法にて, 17番染色体のLOHはsouthern blot法にて解析をした. 結果:p53変異および第17番染色体欠失(ρ53変異(+))は12例(8.9%)に認められた. p53変異はmissence変異が7症例(...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 6; no. 4; pp. 232 - 233
Main Authors 茨木利夫, 飯田真太朗, 山口博樹, 平川経晃, 脇田知志, 檀和夫, 猪口孝一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2010
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ISSN1349-8975

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Summary:目的:急性骨髄球性白血病(AML)について, 近年遺伝子変異による予後層別化が注目されている. 本研究ではp53遺伝子変異に着目し, その遺伝子変異および第17番染色体欠損の臨床的特徴と予後因子としての意義に関して検討した. 方法:対象は1986年から2008年までに当施設またはその関連施設におけるde novo AML 135例. p53遺伝子変異はdirect sequence法にて, 17番染色体のLOHはsouthern blot法にて解析をした. 結果:p53変異および第17番染色体欠失(ρ53変異(+))は12例(8.9%)に認められた. p53変異はmissence変異が7症例(58.3%)ともっとも頻度が高く, 第17番染色体欠損が1症例, p53遺伝子LOHが2症例, 1塩基欠失が1症例, splice siteの変異が1症例に認められた. 染色体分析では, 予後中間群が7症例(58.3%), 予後不良群が5症例(41.7%)に認められ, 複雑核型の頻度はp53wild(7.6%)と比較してp53変異(+)(54.5%)で有意に多かった(p<0.0001). 予後因子としての意義は, p53変異(+)12症例の5年生存率(OS)は, p53 wildに対して有意に予後不良であった(8.33% vs 21.05%, p=0.041). 考察:p53変異(+)は, de novo AMLにおいて予後不良因子として考えられた.
ISSN:1349-8975