P-38)妊産婦健康診査未受診症例の周産期予後の検討

目的:妊産婦健康診査(以下, 妊婦健診)体制が確立されたにも関わらず, 医療機関をほとんど受診することなく分娩に至る妊産婦に時折遭遇する. そこで, 当院における未受診症例について検討した. 対象および方法:1997年1月から2007年5月に当院で分娩を取り扱った症例のうち, 妊娠管理が不十分であった41例について, 後方視的に検討した. 結果:対象は15歳から44歳までの42例であった. 経産婦は27例で, 前回分娩時も未受診であった4例が含まれた. 初産年齢が19歳未満であった例は14例(33%)に上った. 未入籍の症例は27例(64%), うち8例は離婚歴を持つ. 妊婦健診未受診の理由と...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 4; no. 4; p. 250
Main Authors 林昌子, 三宅秀彦, 山本晃人, 中井晶子, 奥田直貴, 稲川智子, 阿部崇, 川端伊久乃, 横田明重, 中井章人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2008
Online AccessGet full text
ISSN1349-8975

Cover

More Information
Summary:目的:妊産婦健康診査(以下, 妊婦健診)体制が確立されたにも関わらず, 医療機関をほとんど受診することなく分娩に至る妊産婦に時折遭遇する. そこで, 当院における未受診症例について検討した. 対象および方法:1997年1月から2007年5月に当院で分娩を取り扱った症例のうち, 妊娠管理が不十分であった41例について, 後方視的に検討した. 結果:対象は15歳から44歳までの42例であった. 経産婦は27例で, 前回分娩時も未受診であった4例が含まれた. 初産年齢が19歳未満であった例は14例(33%)に上った. 未入籍の症例は27例(64%), うち8例は離婚歴を持つ. 妊婦健診未受診の理由として, 経済的問題が12例(28%)と最も多く, 妊娠に気付かなかった症例が8例(19%), その他妊娠と知りつつ放置した例も認められた. 分娩場所には自宅が7例, 救急車内が1例含まれていた. 低出生体重児は13例で, 本邦における低出生体重児の頻度の約3倍であった. うち3例が超低出生体重児であり, IUFDを含めて4例が児死亡に至った. 周産期死亡率は出生1,000対71であり, 本邦の周産期死亡率と比較し, 約15倍のリスクであった. 考察:当院の妊婦健診未受診の症例では低出生体重児や周産期死亡のリスクが高かった. 様々な背景により未受診分娩に至るため, 今後, さらなる啓発活動とともに, 妊婦健診の受診を促進する体制整備も肝要と考えた.
ISSN:1349-8975