Histopathological Study of Tissue Reaction to Pacemaker Electrodes Implanted in the Endocardium (J Nippon Med Sch 2005;72:52-59) ペースメーカー植込み後の心筋電極接触部における病理組織変化

ペースメーカー(PM)植込み部の組織反応に関する報告はほとんどない. PM植込み期間が2ヵ月~22年にわたる13剖検例を用い, 右室電極接触領域の病理学的変化について検討した. 電極が適度に接した症例では16年以上経過しても内膜肥厚は認めなかったが, 先端が内膜に強く接した症例では, 圧迫された内膜下心筋細胞が変性, 消失して線維化に陥る像が認められた. 一方, 電極先端と内膜の間に間隙がある症例では, 電極に付着する血栓の器質化から形成される線維性被膜がこの隙間にも介在していた. すなわちPM植込み後に内膜の反応性肥厚は起こらず, 電極と内膜の接し方によって, 強い接触圧では心筋細胞が消失し...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 1; no. 1; p. 35
Main Authors 間瀬大司, 田村浩一, 広本敦之, 堀田正啓, 保富佐穂里, 富樫真由子, 福田 悠, 矢島俊巳, 新田 隆, 田中茂夫, 杉崎祐一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2005
Online AccessGet full text
ISSN1349-8975

Cover

More Information
Summary:ペースメーカー(PM)植込み部の組織反応に関する報告はほとんどない. PM植込み期間が2ヵ月~22年にわたる13剖検例を用い, 右室電極接触領域の病理学的変化について検討した. 電極が適度に接した症例では16年以上経過しても内膜肥厚は認めなかったが, 先端が内膜に強く接した症例では, 圧迫された内膜下心筋細胞が変性, 消失して線維化に陥る像が認められた. 一方, 電極先端と内膜の間に間隙がある症例では, 電極に付着する血栓の器質化から形成される線維性被膜がこの隙間にも介在していた. すなわちPM植込み後に内膜の反応性肥厚は起こらず, 電極と内膜の接し方によって, 強い接触圧では心筋細胞が消失し, 逆に隙間がある場合には間に線維性被膜が形成され, いずれも閾値上昇に関与することが示唆された. 従って心筋層の薄い部に電極先端を強い圧で挿入するのは適当ではなく, 電極と心内膜を適度な圧で接触させるために電極先端の形状にさらに工夫を加える必要があると考えられた.
ISSN:1349-8975