12)ドクターヘリシステムによる循環器救急疾患搬送の成果
目的:当院にて平成13年10月1日から開始した千葉県救急医療体制整備の一環として行っているドクターヘリシステム(医師, 看護師が同乗, 現場到着と同時に初療を開始, ヘリポートを有する医療機関に搬送)の現状と, 循環器救急疾患搬送の成果を明らかにすること. 対象と方法:平成13年10月1日から平成14年9月30日までの1年間にドクターヘリにより搬送された全症例を集計, さらにこのうち循環器救急疾患搬送の分析を行い, 本システムの効果を考察した. 結果:全搬送症例333例中, 循環器救急疾患は34例(男24例, 女10例, 68. 4±12. 4歳)であった. 救急要請から治療開始までは144±...
Saved in:
Published in | Journal of Nippon Medical School Vol. 70; no. 3; p. 292 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2003
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-4676 |
Cover
Summary: | 目的:当院にて平成13年10月1日から開始した千葉県救急医療体制整備の一環として行っているドクターヘリシステム(医師, 看護師が同乗, 現場到着と同時に初療を開始, ヘリポートを有する医療機関に搬送)の現状と, 循環器救急疾患搬送の成果を明らかにすること. 対象と方法:平成13年10月1日から平成14年9月30日までの1年間にドクターヘリにより搬送された全症例を集計, さらにこのうち循環器救急疾患搬送の分析を行い, 本システムの効果を考察した. 結果:全搬送症例333例中, 循環器救急疾患は34例(男24例, 女10例, 68. 4±12. 4歳)であった. 救急要請から治療開始までは144±11. 6分で, 救急車搬送による予測時間34. 3±22. 3分よりも著明な短縮効果を認めた. 搬送形態は, 現場近くの中学校などを臨時ヘリポートとして使用し, 救急車よりヘリへ受け渡される所謂ランデブーが基本. 内訳は, 救急隊からの直接要請による当院収容20例, 他院から当院への転院搬送10例, ヘリポートを有する他の医療機関への転院搬送4例. 疾患の内訳は急性心筋梗塞(AMI)18例, 不安定狭心症1例, うっ血性心不全3例, 急性大動脈解離(AAD)6例, 腹部大動脈瘤破裂(RAAA)2例, その他4例. 25例を集中治療室に収容. 13例のAMIに緊急PCI施行, 2例のAADと2例のRAAAに緊急手術を行いこれらは全例生還したが, 3例は緊急カテーテルや手術に至らず死亡. 考察:ドクターヘリシステムは重症循環器疾患の早期診断, 早期治療に直結する有用な手段となり得る. |
---|---|
ISSN: | 1345-4676 |