18.子宮頸癌培養細胞と頸癌組織におけるlumicanの発現と局在の検討

[目的]Lumicanは小型ロイシンリッチプロテオグリカンファミリーの1種で, 角膜や皮膚など全身に広く存在し, 膠原線維の重合や配列の調節に重要な役割を果たしていることが知られている. 近年, 乳癌組織で癌周囲の線維芽細胞より豊富に産生されたlumicanが癌の増殖に関与していることが報告された. 膵臓癌や大腸癌では癌細胞自身がlumicanを産生することが明らかとなり, その役割が注目されている. ここに子宮頸癌培養細胞と子宮頸癌組織におけるlumicanの発現と局在につき検討した. [材料と方法]ヒト子宮頸癌培養細胞のCaSki, ME-180細胞と, 外科的に切除されたヒト子宮頸癌組織...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 1; p. 80
Main Authors 古力郷尓, 庫尓班, 石渡俊行, 呂月平, 王若皎, 藤井雄文, 川原清子, 内藤善哉, 山田宣孝, 杉崎祐一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2002
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ISSN1345-4676

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Summary:[目的]Lumicanは小型ロイシンリッチプロテオグリカンファミリーの1種で, 角膜や皮膚など全身に広く存在し, 膠原線維の重合や配列の調節に重要な役割を果たしていることが知られている. 近年, 乳癌組織で癌周囲の線維芽細胞より豊富に産生されたlumicanが癌の増殖に関与していることが報告された. 膵臓癌や大腸癌では癌細胞自身がlumicanを産生することが明らかとなり, その役割が注目されている. ここに子宮頸癌培養細胞と子宮頸癌組織におけるlumicanの発現と局在につき検討した. [材料と方法]ヒト子宮頸癌培養細胞のCaSki, ME-180細胞と, 外科的に切除されたヒト子宮頸癌組織を用いた. RT. PCR法とWestern blot法により子宮頸癌培養細胞におけるlumican mRNAとlumicanタンパクの発現を検討した. 免疫組織化学染色法にてヒト子宮頸癌組織での, lumicanタンパクの局在を検討した. [結果]子宮頸癌培養細胞においてlumican mRNAとlumicanタンパクの発現が認められた. ヒト子宮頸癌組織では正常部位の子宮頸管腺にはlumicanタンパクの局在はみられなかったが, 頸癌細胞と癌細胞周囲の線維芽細胞に豊富なlumicanタンパクの局在が認められた. [考察]子宮頸癌細胞と癌周囲の線維芽細胞により産生されたlumicanが癌の増殖, 進展に関与している可能性が示唆された.
ISSN:1345-4676