6)冠攣縮性狭心症における運動負荷時ST変化の特徴
目的:冠攣縮性狭心症(VSA)は従来の負荷心電図判定基準では陰性とされることが多い. 我々はVSAにおける運動負荷試験の特徴につき検討した. 対象と方法:狭心症状を有し冠動脈造影を施行した19例(男13例, 女6例). 冠動脈に有意狭窄を認めずアセチルコリン冠動脈内注入にて冠攣縮を生じた10例(攣縮群)と狭窄を有した9例(狭窄群)の2群につきトレッドミル運動負荷試験を検討した. 結果:攣縮群の年齢(55.4±7.3歳)は狭窄群(68.2±8.0歳)に比し若年であったが, 運動時間には差がなかった. 目標心拍数による運動中止は攣縮群が7例, 狭窄群では3例であった. 負荷終了時J点より60mse...
Saved in:
Published in | Journal of Nippon Medical School Vol. 66; no. 1; p. 60 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
1999
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-4676 |
Cover
Summary: | 目的:冠攣縮性狭心症(VSA)は従来の負荷心電図判定基準では陰性とされることが多い. 我々はVSAにおける運動負荷試験の特徴につき検討した. 対象と方法:狭心症状を有し冠動脈造影を施行した19例(男13例, 女6例). 冠動脈に有意狭窄を認めずアセチルコリン冠動脈内注入にて冠攣縮を生じた10例(攣縮群)と狭窄を有した9例(狭窄群)の2群につきトレッドミル運動負荷試験を検討した. 結果:攣縮群の年齢(55.4±7.3歳)は狭窄群(68.2±8.0歳)に比し若年であったが, 運動時間には差がなかった. 目標心拍数による運動中止は攣縮群が7例, 狭窄群では3例であった. 負荷終了時J点より60msec後の平均ST低下度は攣縮群1.2±0.8mm, 狭窄群1.5±0.8mmで両群間に差がなかったが, 回復期には攣縮群が速やかなSTの改善を示した(運動終了後5分;攣縮群0.2±0.2mm, 狭窄群1.0±0.4mm, p<0.05). 運動終了時に1.0mm以上のST低下を認めたのは攣縮群の6例(水平型または下行型(I型)4例, J型2例), 狭窄群の6例(全例I型)であったが, 終了後1分まで, これが遷延したものは攣縮群1例, 狭窄群3例であった. 総括:運動負荷時のST低下は攣縮群でも狭窄群と同様の頻度で生じたが, 速やかに回復した. 運動負荷試験よりVSAを推測するにはJ型を含むST低下とその早期改善を考慮すべきと思われた. |
---|---|
ISSN: | 1345-4676 |