4)通常型心房粗動に対するカテーテルアブレーション
目的:通常型心房粗動(CAFL)は右房内で三尖弁輪周囲を反時計方向に回旋するマクロリエントリーと考えられている. 1993年にCosioらは心房粗動は下大静脈と三尖弁輪とに挟まれた右房後壁を回路上の解剖学的峡部(IVC-TA isthrnus)とし, 同部に線状焼灼を行うことにより粗動が根治することを報告し, 以来同法の高い成功率から一般的に行われる治療法として普及した. 今回, 当院における同法の成績をまとめたので報告する. 対象と方法:対象はCAFLを有する21例(男19例, 女2例, 平均年齢58.9±10.6歳)で右房, ヒス束領域, 右心室および冠静脈洞内にそれぞれ多電極カテーテルを...
Saved in:
Published in | Journal of Nippon Medical School Vol. 66; no. 1; pp. 59 - 60 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
1999
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-4676 |
Cover
Summary: | 目的:通常型心房粗動(CAFL)は右房内で三尖弁輪周囲を反時計方向に回旋するマクロリエントリーと考えられている. 1993年にCosioらは心房粗動は下大静脈と三尖弁輪とに挟まれた右房後壁を回路上の解剖学的峡部(IVC-TA isthrnus)とし, 同部に線状焼灼を行うことにより粗動が根治することを報告し, 以来同法の高い成功率から一般的に行われる治療法として普及した. 今回, 当院における同法の成績をまとめたので報告する. 対象と方法:対象はCAFLを有する21例(男19例, 女2例, 平均年齢58.9±10.6歳)で右房, ヒス束領域, 右心室および冠静脈洞内にそれぞれ多電極カテーテルを留置, また三尖弁輪周囲に沿って'Halo'電極カテーテルを挿入, 各部位より心内電位を同時記録した. 心房粗動を誘発し, 心内電極より得られた心房電位の興奮順路を確認した後, CAFLに対しIVC-TA isthmusに高周波線状焼灼によるアブレーション(RFCA)を施行した. 結果:1996年以降本法によるRFCAの成功率は100%(14例中14例)で, 全例で両方向性の峡部ブロッキング, ラインを作製した. また, 平均9.6カ月間の経過観察中で, 再発を認めていない. 一方, 1996年以前に行われていたpotential mapping法による点状焼灼では一時的成功率は85.7%(7例中6例)であり, そのうち3例の再発を認めている. 考察:当院での1996年以降のCAFLに対するRFCAの成功率は100%と高く, 多施設の成績と比較しても遜色がないことが示された, また, 本法によりIVC-TA isthmusがCAFLのリエントリー回路の一部であることが明らかにされた. 本法によるCAFLの根治後にも非通常型心房粗動や心房細動が残存する症例は認められるが, CAFLの根治療法として画期的な方法であると結論される. |
---|---|
ISSN: | 1345-4676 |