前大脳動脈近位部 (A1) 動脈瘤の臨床的特徴と治療戦略
「要旨」前大脳動脈近位部(A1)動脈瘤はまれな疾患で全脳動脈瘤の1 - 2%の頻度と報告され, 多くは穿通枝分岐部に発生するため治療の難易度は高い. 今回, 当院で施行した10例のA1動脈瘤について後方視的に検討を行い, 臨床的特徴とさまざまな形態による治療戦略に関して報告する. 当院で治療を行った脳動脈瘤症例1,520例を対象とし, A1動脈瘤は10例(0.6%)であった. 9例が未破裂, 1例が破裂脳動脈瘤で, 発生位置はA1上のdistal 6例, proximal 3例, middle 1例であった. 発生部位はmedial LSA分岐部3例, orbito-frontal arter...
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Published in | 脳卒中の外科 Vol. 51; no. 4; pp. 292 - 297 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本脳卒中の外科学会
31.08.2023
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ISSN | 0914-5508 |
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Summary: | 「要旨」前大脳動脈近位部(A1)動脈瘤はまれな疾患で全脳動脈瘤の1 - 2%の頻度と報告され, 多くは穿通枝分岐部に発生するため治療の難易度は高い. 今回, 当院で施行した10例のA1動脈瘤について後方視的に検討を行い, 臨床的特徴とさまざまな形態による治療戦略に関して報告する. 当院で治療を行った脳動脈瘤症例1,520例を対象とし, A1動脈瘤は10例(0.6%)であった. 9例が未破裂, 1例が破裂脳動脈瘤で, 発生位置はA1上のdistal 6例, proximal 3例, middle 1例であった. 発生部位はmedial LSA分岐部3例, orbito-frontal artery分岐部2例, accessory MCA分岐部1例であった. 治療はclipping 4例, coil塞栓4例, wrapping 1例で, 巨大血栓化動脈瘤に対してはSTA-STA-A3 bypass + trappingを行った. 全例で穿通枝障害含め合併症はなかった. A1動脈瘤に対しては, 穿通枝温存のためにも直視下でのclippingが理想的と考えるが, 近年では血管内治療の報告も散見される. 巨大血栓化動脈瘤に関しては瘤の根治性を高めるためにbypassを駆使した治療戦略も求められる. |
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ISSN: | 0914-5508 |