椎骨脳底動脈系頭蓋内動脈解離の全国調査 (最終報告) 第3報 - 虚血発症

「はじめに」これまでの全国調査により, 椎骨脳底動脈系動脈解離は, 近年虚血発症と診断される症例の増加が指摘されている. 虚血発症頭蓋内動脈解離の治療に関し, 脳卒中治療ガイドライン2009では, アスピリンやワーファリンなどの抗血栓療法がGrade C1で推奨されている. しかし, これまでの報告では, 虚血発症椎骨脳底動脈解離に対する抗血栓療法の効果は示されていない. また, 動脈解離という病態から虚血発症でも, くも膜下出血の続発が懸念され, その是非は未解決のままである. 今回, 現在の本邦における椎骨脳底動脈系の虚血発症頭蓋内動脈解離に対する治療, 病態, 転帰などの現状を明らかとす...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 43; no. 4; pp. 257 - 261
Main Authors 樋口佳則, 小野純一, 田島洋佑, 町田利生, 佐伯直勝, 山浦晶
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳卒中の外科学会 31.07.2015
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ISSN0914-5508

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Summary:「はじめに」これまでの全国調査により, 椎骨脳底動脈系動脈解離は, 近年虚血発症と診断される症例の増加が指摘されている. 虚血発症頭蓋内動脈解離の治療に関し, 脳卒中治療ガイドライン2009では, アスピリンやワーファリンなどの抗血栓療法がGrade C1で推奨されている. しかし, これまでの報告では, 虚血発症椎骨脳底動脈解離に対する抗血栓療法の効果は示されていない. また, 動脈解離という病態から虚血発症でも, くも膜下出血の続発が懸念され, その是非は未解決のままである. 今回, 現在の本邦における椎骨脳底動脈系の虚血発症頭蓋内動脈解離に対する治療, 病態, 転帰などの現状を明らかとするために全国調査(VAD 2013)を行った. 「調査対象と方法」「1. 調査法」第1報を参照されたい. 「2. 対象・方法」登録症例数は632例. 解析対象となった632例中, 虚血発症例は209例(33.1%)であった.
ISSN:0914-5508