6 肝局所温熱治療による抹消血T細胞の活性化および単球サブセットの変動

【目的】免疫系は, 外来の異種遺伝子を発現するウイルス感染細胞や, 体内に生じた変異遺伝子を発現するがん細胞を認識し, これを排除する. 癌病巣へのTリンパ球浸潤の多寡と患者予後が相関することは, よく知られている. また, 我々は癌患者末梢血中に腫瘍組織抗原を認識して活性化するTリンパ球が存在することを示してきた. 温熱治療による腫瘍縮小や, 肝癌の温熱治療に伴う肝炎ウイルスコピー数の減少に, 温熱の持つ免疫応答増強作用が関与する可能性を考え, これを検証した. 【方法】高周波による肝局所温熱療法が宿主免疫細胞機能に与える影響を, 多色フローサイトメトリーによる末梢血単核球の表面マーカー解析...

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Published in日本ハイパーサーミア学会誌 Vol. 20; no. 3; p. 204
Main Authors 河原佐智代, 喜田洋平, 坂本真由美, Valentina V. Ostapenko, 宮澤正顕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ハイパーサーミア学会 2004
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ISSN0911-2529

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Summary:【目的】免疫系は, 外来の異種遺伝子を発現するウイルス感染細胞や, 体内に生じた変異遺伝子を発現するがん細胞を認識し, これを排除する. 癌病巣へのTリンパ球浸潤の多寡と患者予後が相関することは, よく知られている. また, 我々は癌患者末梢血中に腫瘍組織抗原を認識して活性化するTリンパ球が存在することを示してきた. 温熱治療による腫瘍縮小や, 肝癌の温熱治療に伴う肝炎ウイルスコピー数の減少に, 温熱の持つ免疫応答増強作用が関与する可能性を考え, これを検証した. 【方法】高周波による肝局所温熱療法が宿主免疫細胞機能に与える影響を, 多色フローサイトメトリーによる末梢血単核球の表面マーカー解析と, レクチン刺激後のサイトカイン産生定量により検討した. 【成績】温熱治療はヒトTリンパ球を活性化させ, そのサイトカイン産生能を高めた. この際, IL-4産生よりIFN-γ産生がより強く誘導された. また, 肝局所の温熱療法により, 末梢血単球中のCD14陽性分画が減少し, CD16強陽性分画が増加したが, これは肝臓を加温した場合に見られ, 肺の加温では認められなかった. 【結論】高周波温熱治療はヒト末梢血リンパ球を活性化させ, 肝を加温した場合は単球サブセットの変動が誘導される.
ISSN:0911-2529