No.36 乾燥皮膚に対する人工明礬・炭酸泉浴の影響についての検討
[目的]現在まで我々は, 冷え症・下肢痛に対する食塩含有人工炭酸浴の種々の治療効果および生理的・生化学的影響について報告してきた. 今回の検討では, 乾燥皮膚に対する入浴剤の治療効果およびその生理学的影響を明らかにすることを目的とした. [方法]皮膚乾燥自覚者9例を対象とした. 入浴剤としては, 明礬を含む炭酸ガス系入浴剤を使用した. 1日1回40℃10分間の全身浴を実施した(1日目:さら湯浴, 2~16日目:入浴剤). 自覚症状は, さら湯浴, 人工明礬・炭酸泉浴1回目および15回目の前後で, Visual Analogue Scale(VAS)により評価した. 同時に入浴前, 入浴10分後...
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Published in | 日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 74; no. 1; pp. 47 - 48 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本温泉気候物理医学会
2010
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ISSN | 0029-0343 |
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Summary: | [目的]現在まで我々は, 冷え症・下肢痛に対する食塩含有人工炭酸浴の種々の治療効果および生理的・生化学的影響について報告してきた. 今回の検討では, 乾燥皮膚に対する入浴剤の治療効果およびその生理学的影響を明らかにすることを目的とした. [方法]皮膚乾燥自覚者9例を対象とした. 入浴剤としては, 明礬を含む炭酸ガス系入浴剤を使用した. 1日1回40℃10分間の全身浴を実施した(1日目:さら湯浴, 2~16日目:入浴剤). 自覚症状は, さら湯浴, 人工明礬・炭酸泉浴1回目および15回目の前後で, Visual Analogue Scale(VAS)により評価した. 同時に入浴前, 入浴10分後, 20分後, 30分後に前腕内側部の皮膚水分量および皮膚血流量を皮表角層水分量測定装置およびレーザードプラー血流計を用いて測定した. [結果]1.皮膚水分量については, さら湯浴, 人工明礬・炭酸泉浴ともに, 浴後に上昇する傾向が認められたが, 人工明礬・炭酸泉浴に比較して, さら湯浴でより上昇する傾向が認められた. 2.皮膚血流量については, さら湯浴に比較して, 人工明礬・炭酸泉の単回浴および連浴15回目ともに増加する傾向が認められた. 3.主観的評価では, 人工明礬・炭酸泉の単回浴および連浴15回目で"皮膚のしっとり感"が, 人工明礬・炭酸泉浴の単回浴で"肌荒れ感"が改善する傾向が認められた. さら湯の単回浴では, "皮膚のしっとり感", "皮膚のかゆみ", "肌荒れ感"ともに有意な改善を認めなかった. 連浴することによって, 入浴前の"皮膚のかゆみ", "肌荒れ感"も改善する傾向が認められた. [考察]皮膚乾燥自覚者に対して, 人工明礬・炭酸泉の単回浴および連浴は, 皮膚の血流量を増加させることによって, 自覚症状を改善する可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0029-0343 |