8. CTとMRIによる舌癌の立体評価

【目的】CTおよびMRIを用いた頭頸部腫瘍に関する画像診断は非常に重要であり, 特に腫瘍の大きさは予後因子として用いられる. 今回我々は, CTおよびMRI検査が施行された舌癌において腫瘍体積の評価を行い, 各画像の特徴を把握することを目的とした. 【方法】2005年から2007年に大阪大学歯学部附属病院放射線科にて舌癌の診断のもとCTおよびMRI検査を施行された患者は70名であった. そのうち, CTおよびMRIの両方の検査にて確実に腫瘍が描出された7名を対象とした. CT検査はLight Speed QX/iを用い, 造影後の画像を検討対象とした. MRI検査はSigna LXを用い, T...

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Published in歯科放射線 Vol. 47; no. 1/4; p. 138
Main Authors 富田世紀, 柿本直也, 片岡精観, ジラーヂンダソムバッザロエン, 中谷温紀, 内山百夏, 村上秀明, 古川惣平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 2007
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ISSN0389-9705

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Summary:【目的】CTおよびMRIを用いた頭頸部腫瘍に関する画像診断は非常に重要であり, 特に腫瘍の大きさは予後因子として用いられる. 今回我々は, CTおよびMRI検査が施行された舌癌において腫瘍体積の評価を行い, 各画像の特徴を把握することを目的とした. 【方法】2005年から2007年に大阪大学歯学部附属病院放射線科にて舌癌の診断のもとCTおよびMRI検査を施行された患者は70名であった. そのうち, CTおよびMRIの両方の検査にて確実に腫瘍が描出された7名を対象とした. CT検査はLight Speed QX/iを用い, 造影後の画像を検討対象とした. MRI検査はSigna LXを用い, T1強調画像, 脂肪抑制法併用T2強調画像, 造影後の脂肪抑制法併用T1強調画像を検討対象とした. 画像解析ソフトAnalyze(R)を用い, 各画像データをトレースし, 腫瘍体積を算出し各画像の相違を検討した. 統計学的解析としてはウィルコクソン符号付順位和検定を用いた. 【結果】7名の腫瘍体積の中央値は造影CT画像では4027.85mm3, T1強調画像では3033.56mm3, 脂肪抑制法併用T2強調画像では, 5148.49mm3, 造影後の脂肪抑制法併用T1強調画像で3923.1mm3であり, T1強調画像と脂肪抑制法併用T2強調画像との間に統計学的有意差が認められた. 【考察】MRIのT2強調画像では浮腫や出血のため腫瘍範囲は過大評価されることが報告されている. 我々の結果でも7例中4例において脂肪抑制法併用T2強調画像での腫瘍体積が各画像の中で最大となった. しかしながら最小となる症例も見られ, 必ずしも過大評価されないことがわかった. また, T1強調画像では腫瘍と正常組織の境界を分けることは困難とされている. 今回の結果, 他の撮影条件よりT1強調画像で比較的小さく評価されることが示された. 【結論】CTおよびMRIを用いた舌癌の腫瘍体積の評価を行った結果, 腫瘍体積はT1強調画像で小さく, 脂肪抑制法併用T2強調画像で大きく評価される傾向が示された.
ISSN:0389-9705