31. 口腔癌の放射線化学療法後におけるFDG-PETの役割

【目的】FDG-PET検査はグルコース代謝が亢進している腫瘍細胞に特異的に取り込まれる特性から, 治療効果判定や腫瘍再発診断に用いられている. 一般にFDG-PET診断では, FDGの集積量を数値化したSUVを使用し, このSUVの高低により腫瘍残存の有無を推測している. 本研究では, 口腔癌に対する放射線化学療法効果の判定にFDG集積量(SUV)を用いることができるのかどうか, また腫瘍細胞残存のcut off pointを求めることを目的に研究を行った. 【対象, 方法】対象症例は, 口腔領域に扁平上皮癌を持ち, 初診時および放射線化学療法後にFDG-PETが得られた13例とした. この1...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in歯科放射線 Vol. 45; no. 4; pp. 170 - 171
Main Authors 泉澤 充, 高橋徳明, 東海林 理, 佐藤 仁, 星野正行, 近藤大輔, 小豆島正典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 2005
Online AccessGet full text
ISSN0389-9705

Cover

More Information
Summary:【目的】FDG-PET検査はグルコース代謝が亢進している腫瘍細胞に特異的に取り込まれる特性から, 治療効果判定や腫瘍再発診断に用いられている. 一般にFDG-PET診断では, FDGの集積量を数値化したSUVを使用し, このSUVの高低により腫瘍残存の有無を推測している. 本研究では, 口腔癌に対する放射線化学療法効果の判定にFDG集積量(SUV)を用いることができるのかどうか, また腫瘍細胞残存のcut off pointを求めることを目的に研究を行った. 【対象, 方法】対象症例は, 口腔領域に扁平上皮癌を持ち, 初診時および放射線化学療法後にFDG-PETが得られた13例とした. この13例は, 臨床的治療効果がCR(complete response)であった症例, もしくは手術が行われ摘出標本から病理所見の得られた症例とした. 病理組織学的判定でGrade 3, Grade 4(大星, 下里分類)と判定された場合, 腫瘍細胞freeと定義した. また手術せず臨床的治療効果判定のみ行われCRとなった症例は, 腫瘍細胞freeと定義した. PET装置はHeadTome IVを用い, 6.5mm間隔で14枚のaxial像を得た. 検査中の位置移動を防ぐため熱可塑性フェイスマスクを装着し, 患者頭部を固定した. PET検査は, 外部線源による15分間のtransmission scanの後, 185MBq(5mCi)を目標にFDGを投与しemission scanを行った. 【結果】cut off pointをSUV=3.5とすると, TP(true positive):5例, FP(false positive):3例, TN(true negative):5例, FN(false negative):0例となり, sensitivity(感度)は100%, specificity(特異度)は63%となった. FP症例のSUVは4.00-5.56に分布していた. 【考察】以上の成績は, SUV=3.5未満であれば, 腫瘍細胞が残存している可能性は極めて低いということを示している. 一方FP症例は23%であったことから, SUVが4から5付近を示す場合, ほかの画像診断や慎重な経過観察による診断が必要と思われた.
ISSN:0389-9705