23. シェーグレン症候群におけるMR画像診断

シェーグレン症候群(SjS)は, 眼科医H. Sjogrenによって報告されたことに由来している. 本邦におけるSjSの診断基準は, 1977年に提示された厚生省基準が長く用いられてきたが, 1999年の改定診断基準では, 乾燥症状は必要条件では無くなり, 他覚的検査所見だけで診断が可能となった. 口腔検査では旧基準に加えて唾液腺シンチグラフィーによる唾液腺機能検査が新たに採用された. 今回, われわれはSjSの患者における画像検査の一つとして採用されている唾液腺造影検査の意義とMR-Sialography(MR-S)を含むMRI検査の有用性について検討した. 【対象】1999年4月から200...

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Published in歯科放射線 Vol. 45; no. 4; p. 168
Main Authors 古跡孝和, 青木秀哲, 清水谷公成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 2005
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ISSN0389-9705

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Summary:シェーグレン症候群(SjS)は, 眼科医H. Sjogrenによって報告されたことに由来している. 本邦におけるSjSの診断基準は, 1977年に提示された厚生省基準が長く用いられてきたが, 1999年の改定診断基準では, 乾燥症状は必要条件では無くなり, 他覚的検査所見だけで診断が可能となった. 口腔検査では旧基準に加えて唾液腺シンチグラフィーによる唾液腺機能検査が新たに採用された. 今回, われわれはSjSの患者における画像検査の一つとして採用されている唾液腺造影検査の意義とMR-Sialography(MR-S)を含むMRI検査の有用性について検討した. 【対象】1999年4月から2004年12月までの間に本学放射線科を受診し, 診断の確定したSjS27症例を対象とした. 【方法】SjS症例について生検病理検査, 眼科検査, 血清検査および口腔検査の陽性率を検討した. MRI検査が実施された26症例については, 唾液腺組織の変化を信号強度の均一性を用いて評価した. 耳下腺, 顎下腺ともに腺管系の構造物が含まれない最大面積を示すスライスを利用し, 濃度の平均値, 最大値, 最小値および標準偏差を計測した. 対照としては顎顔面領域の疾患で唾液腺領域に自覚症状および既往歴のない88腺と口腔乾燥感を主訴として受診し, SjSと診断されなかった14腺の計102腺を用いた. MR-Sと唾液腺造影検査が実施された18症例における, 両者の相関性についてはRubin and Holtの唾液腺造影基準を用いて検討した. 【結果】生検病理検査と眼科検査では, 実施されたすべてが陽性を示した. 口腔検査はSaxonテストまたは, ガム試験で陽性を示したものが85.7%で, 唾液腺造影検査を加えると陽性率は100%であった. 唾液腺組織の信号強度の均一性は, 画像の標準偏差で評価を行った. その結果, 正常像の平均29.97とSjSの平均47.80との間には有意な差(P<.0001)が認められた. MR-Sと唾液腺造影検査の分類が一致したものが12症例(66.7%)であった. SjSの診断におけるMR-Sの感度71.4%, 精度83.3%であった. 【結論】シェーグレン症候群の診断において, MRI検査(MR-Sを含む)は, 従来の唾液腺造影検査にはない利点があり, 有用な検査法の一つと思われた.
ISSN:0389-9705