33.口腔顔面部悪性腫瘍の遠隔転移スクリーニングにおける躯幹部CT検査の位置づけ
悪性腫瘍の遠隔転移検索は, 治療方針確立および病変制御の為に必須である. 口腔癌遠隔転移スクリーニングに対する躯幹部CT検査における実施基準, 検査間隔, 造影剤併用に関するガイドラインを確立する一助として, 躯幹部CT検査所見をretrospectiveに検討した. 口腔悪性腫瘍患者のうち, 遠隔転移検索目的で躯幹部CT検査を行った159名247検査を対象とした. うち166検査に造影検査が実施された. 造影剤併用の有無は検査時期により異なり, 転移リスクの高低は考慮されなかった. 歯科放射線指導医と医科放射線専門医各1名によるダブルチェックで作成したレポート, 生検結果, 経過観察結果など...
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| Published in | 歯科放射線 Vol. 44; no. 4; pp. 262 - 263 |
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| Main Authors | , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本歯科放射線学会
2004
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0389-9705 |
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| Summary: | 悪性腫瘍の遠隔転移検索は, 治療方針確立および病変制御の為に必須である. 口腔癌遠隔転移スクリーニングに対する躯幹部CT検査における実施基準, 検査間隔, 造影剤併用に関するガイドラインを確立する一助として, 躯幹部CT検査所見をretrospectiveに検討した. 口腔悪性腫瘍患者のうち, 遠隔転移検索目的で躯幹部CT検査を行った159名247検査を対象とした. うち166検査に造影検査が実施された. 造影剤併用の有無は検査時期により異なり, 転移リスクの高低は考慮されなかった. 歯科放射線指導医と医科放射線専門医各1名によるダブルチェックで作成したレポート, 生検結果, 経過観察結果などから転移判定し, 臓器別に, (1)転移有り, (2)判定保留(転移が疑われるが確証を得られない, 微小結節で検査時点では判定困難など), (3)転移所見なし(異常所見なし, 炎症性変化を疑う結節など)に分類した. 159名中13名(8.2%)に転移が証明された. 転移頻度は, 造影剤利用10/166検査(6.0%), 造影剤不使用5/81検査(6.2%)と, 造影剤利用による検出率向上はなかっし口腔病変の組織型別遠隔転移症例数と転移臓器数は, 扁平上皮癌10(肺9, 縦隔3, 肝2, 腹腔リンパ節2), 腺様嚢胞癌(肺1), 悪性唾液腺腫瘍(肺1, 胸壁1), 悪性線維性組織球腫1(肺1), 転移性腫瘍(肺1, 胸腰椎1)であった. 扁平上皮癌では10例中9例に肺転移がみられ, 6例は肺転移のみであったが, 肺転移なく縦隔肝腹腔リンパ節転移を伴ったものもみられた. 遠隔転移検出時, 扁平上皮癌では, 初診時に頸部転移がない2例以外は全て, 原発腫瘍の制御残存に関わらず, 頸部リンパ節転移を有するか, 節外浸潤の既往があった. 扁平上皮癌以外では, 肺原発腫瘍1例以外はいずれも頸部リンパ節転移がみられた. 胸部単純写真との比較では, 転移の判定, 転移巣の数の把握にはCTが優れており, 検出時期に1~数ヶ月のずれがあった. 上記検討から, 遠隔転移検出にはCTの有効性が高く, スクリーニング用途には造影剤併用は必須ではなく, 頸部リンパ節転移例は遠隔転移高リスクと考えられた. 運用面では, 検査間隔の適切な設定と, 読影における放射線専門医との密な連携により検査の有効性を高める必要がある. |
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| ISSN: | 0389-9705 |