12.閉塞性唾液腺疾患のMRI画像診断
閉塞性唾液腺疾患の診断に際しては, 唾液腺の形態, 機能および唾石の存在位置などの情報を得るために多くの検査が用いられている. 中でも, 唾液腺造影検査は唾液腺の形態変化や唾石の位置的関係を捉えるために必要不可欠な検査とされている. 今回, 唾石が原因とされた閉塞性唾液腺疾患のMR画像を中心に観察を行った. また, 水の信号を強調したMR-Sialo像と唾液腺造影像(以下, MR-SとSialo. )を比較検討した. 対象は本学中央画像検査室を受診し, 臨床的および画像診断的に唾石による閉塞性唾液腺疾患と診断された顎下腺唾石症44症例(45腺)と耳下腺唾石症5症例(5腺)とした. これらの症例...
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| Published in | 歯科放射線 Vol. 43; no. 4; p. 235 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本歯科放射線学会
2003
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| ISSN | 0389-9705 |
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| Summary: | 閉塞性唾液腺疾患の診断に際しては, 唾液腺の形態, 機能および唾石の存在位置などの情報を得るために多くの検査が用いられている. 中でも, 唾液腺造影検査は唾液腺の形態変化や唾石の位置的関係を捉えるために必要不可欠な検査とされている. 今回, 唾石が原因とされた閉塞性唾液腺疾患のMR画像を中心に観察を行った. また, 水の信号を強調したMR-Sialo像と唾液腺造影像(以下, MR-SとSialo. )を比較検討した. 対象は本学中央画像検査室を受診し, 臨床的および画像診断的に唾石による閉塞性唾液腺疾患と診断された顎下腺唾石症44症例(45腺)と耳下腺唾石症5症例(5腺)とした. これらの症例はすべて単純X線検査後にMR検査が実施された. MR像については, 唾液腺の外形, 周囲組織の炎症性変化の有無および組織の均一性について観察検討した. MR-SとSialo. の検査が実施された, 顎下腺唾石症の28症例(28腺)については, 唾液腺管系と導管系および腺系の描出パターンによって分類した. 結果:唾液腺の外形はT1強調像を中心に, 周囲組織の変化はT2強調像およびT2強調脂肪抑制像を用いて評価を行った. 外形が明瞭なもの18腺(40.0%)と不明瞭なもの27腺(60.0%)で, 不明瞭なものが多くみられた. 不明瞭な境界を示した唾液腺の8腺(17.7%)が周囲組織に著明な炎症性変化を伴っていた. 唾液腺組織の均一性は健側と罹患側の間では有意な差は認められなかったが, 正常群との間では, T2強調像およびT2強調脂肪抑制像で有意な差を示していた. 唾液腺外形および周囲組織変化の間に唾液腺組織の均一性に関しては, 有意な差はみられなかった. Sialo. 像を以下の4つにパターン分類した. I. 導管系と腺系とも十分描出されているもの(10腺). II. 導管系は十分描出されているが, 腺系の描出が不十分なもの(3腺). III. 導管系, 腺系とも描出が不十分なもの(7腺). IV. 唾石より遠心が描出されないもの(8腺). MR-S像は, Sialo. 像の分類に唾石より遠心のみが描出されたもの(12腺:42.9%)を加えてA~Eの5つに分類した. 両者が類似した像を示したのは, 9腺(32.1%)であった. まとめ: MR検査は, 閉塞性唾液腺疾患の診断に不可欠な診断法と思われた. 唾液腺組織の均一性は, 閉塞性唾液腺疾患の診断に有効な因子の一つとして利用できる可能性が示唆された. 唾石より遠心部の導管および腺系の描出にはMR-Sialo像が有効であった. 今後は, MR-Sialo像のノイズを軽減することで, さらに診断精度が向上すると思われた. |
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| ISSN: | 0389-9705 |