パノラマX線写真における上顎部およびその周辺構造の異常は, なぜ, そしてどのようにして誤診されるか

パノラマX線写真(以下「パノラマ写真」)における上顎部及びその周辺については, 比較的単純な描出像を示す下顎部などに比較して, X線透過性の高い上顎洞の領域にさまざまな線状の構造が重なり, 一般に読影が容易ではない. また, 投影方向や描出像の成り立ちなどに関する理解がないと把握が困難であり, 特に上顎洞内や翼口蓋窩付近などの病変の場合, それが臨床上直視困難であることも伴って, しばしば重篤な疾患が見逃される傾向にある1-5. 歯科医療の分野においてもX線CTやMRIなどを応用した画像診断が応用されるようになっている今日でも, 歯科一次医療施設で日常的に撮影されるパノラマ写真上の上顎部及びそ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in歯科放射線 Vol. 42; no. 4; pp. 249 - 258
Main Authors 中山均, 濱平須美子, 大森桂一, 澤村強, 箕輪和行, 中村太保
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 2002
Online AccessGet full text
ISSN0389-9705

Cover

More Information
Summary:パノラマX線写真(以下「パノラマ写真」)における上顎部及びその周辺については, 比較的単純な描出像を示す下顎部などに比較して, X線透過性の高い上顎洞の領域にさまざまな線状の構造が重なり, 一般に読影が容易ではない. また, 投影方向や描出像の成り立ちなどに関する理解がないと把握が困難であり, 特に上顎洞内や翼口蓋窩付近などの病変の場合, それが臨床上直視困難であることも伴って, しばしば重篤な疾患が見逃される傾向にある1-5. 歯科医療の分野においてもX線CTやMRIなどを応用した画像診断が応用されるようになっている今日でも, 歯科一次医療施設で日常的に撮影されるパノラマ写真上の上顎部及びその周辺の理解と読影は, なお臨床的に重要な課題であると言える. そうした観点から, 以前著者ら5,6は, パノラマ診断に関する今日的な臨床的課題を明らかにすることを目的に, 新潟大学において, 歯学部並びに医学部附属病院受診の上顎洞癌・上咽頭癌の臨床経過および画像所見を検討し, その結果, パノラマ写真上でいくつか重要な構造に着目することによって, こうした症例の異常の検出が可能であることを示した.
ISSN:0389-9705