拡散強調MR画像の唾液腺への応用
目的:拡散強調MR画像は水分子の組織内の遅いランダムな動き(拡散)を画像化する方法である. この拡散強調画像から水分子の組織内でのミクロな移動の速さの違いをもとに, 種々の病態での組織構築の違いを知ることが可能で脳神経疾患や腹部臓器の鑑別診断, 早期診断, 病態分析などに応用されている. これまでに, 当教室では唾液腺の炎症性変化や自己免疫疾患等における唾液腺の機能不全の診断にMRを応用し, その有用性を報告してきた. これらの研究の際に診断の基準としてきたのは, 唾液腺組織に含まれる脂肪や線維化であった. しかしながら一方では, 唾液腺は唾液の産生, 分泌を行う外分泌腺であり, 唾液腺の拡散...
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Published in | 歯科放射線 Vol. 40; no. suppl; p. 64 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯科放射線学会
2000
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0389-9705 |
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Summary: | 目的:拡散強調MR画像は水分子の組織内の遅いランダムな動き(拡散)を画像化する方法である. この拡散強調画像から水分子の組織内でのミクロな移動の速さの違いをもとに, 種々の病態での組織構築の違いを知ることが可能で脳神経疾患や腹部臓器の鑑別診断, 早期診断, 病態分析などに応用されている. これまでに, 当教室では唾液腺の炎症性変化や自己免疫疾患等における唾液腺の機能不全の診断にMRを応用し, その有用性を報告してきた. これらの研究の際に診断の基準としてきたのは, 唾液腺組織に含まれる脂肪や線維化であった. しかしながら一方では, 唾液腺は唾液の産生, 分泌を行う外分泌腺であり, 唾液腺の拡散係数(ADC:apparent diffusion coefficient)が, 唾液腺血流量, 唾液量などの水分子の動きと相関があり, 病態や機能が, 拡散強調画像に反映されると推測される. だが, 現在までに, 唾液腺疾患の評価に拡散強調撮像の有用性を検討した報告はみられない. そこで, 唾液腺に拡散強調撮像を応用し, 正常像, 病巣を解析し, 有用性について検討を行った. 方法:対象はシェーグレン症候群患者や唾液腺の腫瘍など唾液腺疾患を有しimformed concentが行えた症例と健常ボランティアである. 装置はSIGNA Horizon LX 1.5T CV/NV(GE Yokogawa Medical Systems)で, ニュウロバスキュラアレイコイルを用いた. 撮像シーケンスはGE開発研究用programのsingle-shot(SE type)EPIでパラメーターはTR/TE=10000/99, matrix=160×128, FOV=24cm, スライス厚5mmとした. 傾斜磁場(b-factor)の値は500, 1000sec/平方ミリメートルを用いた. 結果及び結論:1.EPIを用いた超高速でさらにS/N比の高いシーケンスにより, 診断に有効な唾液腺の拡散強調画像を得ることに成功した. 2.健常者と唾液腺疾患を有する患者との間にADCの相違がみられた. 3.拡散強調撮像により唾液腺の病態ならびに機能評価が可能であることが示唆された. |
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ISSN: | 0389-9705 |