パノラマX線撮影装置PM 2002 CCのトランスバーサルスライシングシステムによる上顎大臼歯部横断面像の評価

インプラント植立の術前画像検査として, X線CTの断面像とそれを再構成した任意方向断面像, または一般多軌道断層撮影装置やパノラマ撮影装置Scanora(Orion/Soredex)のスパイラル軌道による断層像の臨床応用が報告されている. 一方, 歯科診療室のパノラマ撮影装置にも横断面断層機能を搭載したものがある. インプラント治療の普及によって, 上顎大臼歯部から上顎結節に至る領域にインプラントを植立する症例が増えると考えられる. そこで, パノラマX線撮影装置PM 2002 CC(Planmeca)におけるトランスバーサルスライシングシステムを使用して, 植立に有意な情報を得るために, そ...

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Published in歯科放射線 Vol. 37; no. suppl; p. 43
Main Authors 槙原政博, 早川吉彦, 光菅裕治, 小林紀雄, 澁谷仁志, 黒柳錦也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 1997
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ISSN0389-9705

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Summary:インプラント植立の術前画像検査として, X線CTの断面像とそれを再構成した任意方向断面像, または一般多軌道断層撮影装置やパノラマ撮影装置Scanora(Orion/Soredex)のスパイラル軌道による断層像の臨床応用が報告されている. 一方, 歯科診療室のパノラマ撮影装置にも横断面断層機能を搭載したものがある. インプラント治療の普及によって, 上顎大臼歯部から上顎結節に至る領域にインプラントを植立する症例が増えると考えられる. そこで, パノラマX線撮影装置PM 2002 CC(Planmeca)におけるトランスバーサルスライシングシステムを使用して, 植立に有意な情報を得るために, その画像特性を計測し, X線CTや一般断層撮影の像と比較検討した. 最初にX線束の入射角度とカセッテの移動速度を測定した. 1次スリット近傍に回転式シャッターを置きX線束を0.2秒ごとのパルス波にして, 咬合平面の高さに置いたフィルムにX線束の方向を記録した. また, カセッテ内で記録したパルス間の距離からその移動速度を求めた. また, 断層像の特徴として断層厚さと拡大率を測定した. 断層厚さはアクリル円柱に螺旋状に巻き付けたハンダ線が鮮明に投影される範囲で求めた. 拡大率は垂直に立てた1mm格子状のグリッドスケールを撮影して求めた. さらに, この断層像の形態的再現性を検討するために, 無歯顎の乾燥頭蓋骨を撮影した. 上顎歯槽骨頂部に沿って近遠心方向にワイヤを置き, それに垂直な断層面像を得た. そして, 一般断層撮影装置Optiplanimat(Siemens)及びX線CT, TCT-700Sで同一断層面を得て, その形態を比較した. 1枚の横断面像を得るために, 約3.6秒間X線が照射され, X線管とカセッテは約50度回転した. 同時にカセッテは毎秒13.3mmで移動した. 断層面は回転軸より約40mmX線管側に形成された. 断層厚さは約4mm, 垂直及び水平方向拡大率は断層面上で一致し1.45倍であった. フィルム側へ10mmずれると垂直方向で1.40倍, 水平方向で約2倍になった. X線管側へずれると反対の傾向であった. これは普通のパノラマ撮影と逆である. 乾燥骨の断層像から歯槽骨の深さを測定したところ, 一般断層撮影による同じ位置の断層像とよく一致した. したがって, 本装置における横断面断層像を撮るトランスバーサルスライシングシステムは, ステントを用いて撮影することで十分な形態再現性をもって術前X線診断に寄与できると思われた.
ISSN:0389-9705