16. スケーリングを用いた保健指導の展開例 ―達成可能な変化をつくる

相手の肯定的な面に目を向けるソリューション・フォーカスト・アプローチ(SFA)は, 短時間で信頼関係を築く, 自ら解決法を考案させる, などにより, 保健指導場面に効果的に応用できる. その技法のひとつであるスケーリングを, 主として現状への意識把握と行動目標の構築場面で用い, 保健指導を実施した. 【主な効果】 1. 「できていること」「できること」の意識化は, 生活行動の分析とともにモチベーションの維持向上に繋がる. 2. 目標を自ら考え, 選択・実行することが, 達成感と自己肯定感を増す. 3. 保健指導場面から切り替えて, 対象者主体の対話にできる. これらの効果はSFAの全ての技法が...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 51; no. 5; p. 86
Main Author 加門恭子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 2009
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ISSN1341-0725

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Summary:相手の肯定的な面に目を向けるソリューション・フォーカスト・アプローチ(SFA)は, 短時間で信頼関係を築く, 自ら解決法を考案させる, などにより, 保健指導場面に効果的に応用できる. その技法のひとつであるスケーリングを, 主として現状への意識把握と行動目標の構築場面で用い, 保健指導を実施した. 【主な効果】 1. 「できていること」「できること」の意識化は, 生活行動の分析とともにモチベーションの維持向上に繋がる. 2. 目標を自ら考え, 選択・実行することが, 達成感と自己肯定感を増す. 3. 保健指導場面から切り替えて, 対象者主体の対話にできる. これらの効果はSFAの全ての技法がめざすところのものでもあるが, そのベースとして, 双方の信頼関係は不可欠である. よりよい行動変化を生みだすためには, 対象者の変化への力を信頼し意欲をサポートする姿勢を持つことも, 指導者が身につけたい重要な対話能力と考える.
ISSN:1341-0725