Expression of angiogenic factors in myeloma cell

近年, 血管新生と腫瘍との関係が注目されている. 多発性骨髄腫(以下骨髄腫)は造血器悪性腫瘍の中でも, 難治性で, その増殖, 進展機構が固形癌に類似しているため, 骨髄腫における血管新生因子の発現を骨髄腫細胞株を用いて検討した. MP-RT-PCR法による検討では, VEGF-A, -Bの発現比は非骨髄腫造血器悪性腫瘍株よりも骨髄腫細胞株で有意に高発現し, ELISA法にて測定した培地上清中へのVEGF-Aの産生量も骨髄腫細胞株で有意に高かった. 抗VEGF-A抗体はVEGFR2(KDR)を高発現する細胞株で有意に増殖抑制を示した. 骨髄腫の新しい動物モデルであるSCID-rab model...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 30; no. 1; p. 66
Main Author 矢田健一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 2004
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ISSN0386-5924

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Summary:近年, 血管新生と腫瘍との関係が注目されている. 多発性骨髄腫(以下骨髄腫)は造血器悪性腫瘍の中でも, 難治性で, その増殖, 進展機構が固形癌に類似しているため, 骨髄腫における血管新生因子の発現を骨髄腫細胞株を用いて検討した. MP-RT-PCR法による検討では, VEGF-A, -Bの発現比は非骨髄腫造血器悪性腫瘍株よりも骨髄腫細胞株で有意に高発現し, ELISA法にて測定した培地上清中へのVEGF-Aの産生量も骨髄腫細胞株で有意に高かった. 抗VEGF-A抗体はVEGFR2(KDR)を高発現する細胞株で有意に増殖抑制を示した. 骨髄腫の新しい動物モデルであるSCID-rab modelにおいても, 骨髄腫細胞を移植した骨ではコントロール骨と比べて微小血管密度の増加を認めた. 以上から, 固形癌同様, 骨髄腫においても血管新生やVEGF-Aがその増殖と病態進展に寄与しているものと考えられた.
ISSN:0386-5924