矯正治療における難治症例からの考察

長期管理を要した口唇口蓋裂患者3症例における診断と治療経過を顧みた結果, 治療を長期化させる要因として以下の各項目が上げられた. 1. 上顎拡大の困難性. 2. 拡大による顎裂部骨移植生着への障害. 3. 上顎骨前方牽引装置およびチンキャップの治療効果. 4. 両側性唇顎口蓋裂中間顎の位置制御不全. 5. 外科手術の予後不良とそれに対する矯正的処置の困難性. そして, これらの改善案として, 口蓋形成手術術式の再検討, 上顎拡大の時期と量とに関する再考すべき点, 今後導入すべき解析方法, 診療システムの有すべき条件などについて考察したので報告する. 口唇口蓋裂患者の治療においては, 口唇形成に...

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Published in昭和歯学会雑誌 Vol. 23; no. 1; pp. 32 - 49
Main Authors 槇宏太郎, 久保田雅人, 中納治久, 宮崎芳和, 中島還, 柴崎好伸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学・昭和歯学会 2003
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ISSN0285-922X

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Summary:長期管理を要した口唇口蓋裂患者3症例における診断と治療経過を顧みた結果, 治療を長期化させる要因として以下の各項目が上げられた. 1. 上顎拡大の困難性. 2. 拡大による顎裂部骨移植生着への障害. 3. 上顎骨前方牽引装置およびチンキャップの治療効果. 4. 両側性唇顎口蓋裂中間顎の位置制御不全. 5. 外科手術の予後不良とそれに対する矯正的処置の困難性. そして, これらの改善案として, 口蓋形成手術術式の再検討, 上顎拡大の時期と量とに関する再考すべき点, 今後導入すべき解析方法, 診療システムの有すべき条件などについて考察したので報告する. 口唇口蓋裂患者の治療においては, 口唇形成に始まり多くの審美的, 機能的改善の処置が長期に渡り必要となる場合が多い. 矯正歯科においては咬合の改善を主な目的とするが, 乳歯列から永久歯列へかけての管理が必須となる.
ISSN:0285-922X