“モヤモヤ”病の脳循環代謝に関する研究

“モヤモヤ”病の原因はいまだ不明であるが, 浅側頭動脈・中大脳動脈吻合術, および脳表に側頭筋をおき, 自然血管吻合を期待するencephalo-myo-synangiosis(EMS)前後の脳血管造影の所見の集積により次のことが判明した. ウィリス動脈輪周辺の脳主幹動脈の閉塞に加えて, これら血管の末梢にも多くの閉塞があること, 脳底部異常血管網(モヤモヤ血管)は脳表主幹動脈の血流に関与していること, 主幹動脈末梢の閉塞部にもモヤモヤ血管がみられ, これがその主幹動脈末梢閉塞部より遠位部の血流維持に関与していること. さらに外頸動脈系の血流が少なからず脳血流に関与することなどである. 一方,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 21; no. 11; pp. 1161 - 1168
Main Authors 唐澤淳, 菊池晴彦, 栗山良紘, 澤田徹, 畔政和, 小林啓志, 小池哲雄, 光木徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1981
Online AccessGet full text
ISSN0470-8105

Cover

More Information
Summary:“モヤモヤ”病の原因はいまだ不明であるが, 浅側頭動脈・中大脳動脈吻合術, および脳表に側頭筋をおき, 自然血管吻合を期待するencephalo-myo-synangiosis(EMS)前後の脳血管造影の所見の集積により次のことが判明した. ウィリス動脈輪周辺の脳主幹動脈の閉塞に加えて, これら血管の末梢にも多くの閉塞があること, 脳底部異常血管網(モヤモヤ血管)は脳表主幹動脈の血流に関与していること, 主幹動脈末梢の閉塞部にもモヤモヤ血管がみられ, これがその主幹動脈末梢閉塞部より遠位部の血流維持に関与していること. さらに外頸動脈系の血流が少なからず脳血流に関与することなどである. 一方, 手術時にみられる脳表の血流状態は, difluse hyperemia, hyperemic focusとanemic focusの混在, diffuse anemiaの3つのタイプがみられるが, いずれも脳表の正常な血流状態とは明らかに異なっている. 以上のように“モヤモヤ”病においては, 脳表, 脳深部とも複雑な血流状態を呈しているため, その脳循環の測定法の選択, また得られた検査値の解釈には注意を要する.
ISSN:0470-8105