4. 口腔癌に対する光線力学療法 ~深部効果を求めて
【はじめに】光線力学療法(PDT)は光感受性薬剤とレーザー光による光化学反応を利用した悪性腫瘍の治療法である. 薬剤投与後, 病変部に特定波長のレーザー光を照射することで活性酸素を発生し殺細胞効果を示す. 本療法は, 薬剤の腫瘍組織親和性から選択的治療が可能と考えられており, 周囲健常組織の傷害が少なく機能と形態の温存が期待できる. われわれは, 1998年から本法を口腔領域に臨床応用しており, 表在性病変での有効性を確認した. さらに, 腫瘍深部での治療効果を向上する目的で組織内照射法を検討したので, その概要を報告する. 【患者ならびに方法】患者:患者は舌扁平上皮癌の4例で, いずれも手術...
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| Published in | 日本レーザー医学会誌 Vol. 24; no. 4; pp. 321 - 322 |
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| Main Authors | , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本レーザー医学会
2003
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0288-6200 |
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| Summary: | 【はじめに】光線力学療法(PDT)は光感受性薬剤とレーザー光による光化学反応を利用した悪性腫瘍の治療法である. 薬剤投与後, 病変部に特定波長のレーザー光を照射することで活性酸素を発生し殺細胞効果を示す. 本療法は, 薬剤の腫瘍組織親和性から選択的治療が可能と考えられており, 周囲健常組織の傷害が少なく機能と形態の温存が期待できる. われわれは, 1998年から本法を口腔領域に臨床応用しており, 表在性病変での有効性を確認した. さらに, 腫瘍深部での治療効果を向上する目的で組織内照射法を検討したので, その概要を報告する. 【患者ならびに方法】患者:患者は舌扁平上皮癌の4例で, いずれも手術療法を拒否し本法を希望した. 光感受性薬剤および光源:薬剤はポルフィマーナトリウム2.0mg/kgを静注投与し, レーザー光源としてはエキシマダイレーザーを使用した. 方法:薬剤投与48時間後, マイクロセレクトロンフレキシブルチューブを腫瘍に刺入し, これに石英ファイバーを挿入し導光, 照射量100J/cmの条件でレーザー照射を行った. 【結果】4例中3例で著効(CR), 1例で有効(PR)であり, 異常出血や舌運動障害, 味覚障害などの副作用はみられなかった. 【考察】現行の表面照射PDTでは癌深部での効果に限界があり, 適応が制限される. 組織内照射法を応用することにより, PDTの適応を拡大できるものと思われる. |
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| ISSN: | 0288-6200 |