蛍光内視鏡による微小消化管癌の画像化

[目的]肉眼的な認識が困難な段階で早期微小癌を検出するには色調や形態変化のみによる診断には限界がある. 生体組織への青色光照射によって腫瘍組織では非腫瘍組織に比して赤色偏移した自家蛍光が励起されることが知られており, この現象を利用して癌を診断する試みが各臓器でなされてきた. る試みが各臓器でなされてきた. 内視鏡下に消化管粘膜の微弱な自家蛍光をgrcen及びred領域の2波長域に分けて高感度カメラで検出し, 画像処理により実時間でモニター上に正常粘膜は青色調, 腫瘍部は赤褐色~暗赤色調に擬似カラー表示するシステムをメーカーと共同開発を行ったので, 臨床応用の成績について紹介する. [対象と方...

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Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 21; no. 3; p. 275
Main Authors 荻原達雄, 大川昭光, 浪久晶弘, 小林修, 渡邊晴生, 三輪洋人, 佐藤信紘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本レーザー医学会 2000
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ISSN0288-6200

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Summary:[目的]肉眼的な認識が困難な段階で早期微小癌を検出するには色調や形態変化のみによる診断には限界がある. 生体組織への青色光照射によって腫瘍組織では非腫瘍組織に比して赤色偏移した自家蛍光が励起されることが知られており, この現象を利用して癌を診断する試みが各臓器でなされてきた. る試みが各臓器でなされてきた. 内視鏡下に消化管粘膜の微弱な自家蛍光をgrcen及びred領域の2波長域に分けて高感度カメラで検出し, 画像処理により実時間でモニター上に正常粘膜は青色調, 腫瘍部は赤褐色~暗赤色調に擬似カラー表示するシステムをメーカーと共同開発を行ったので, 臨床応用の成績について紹介する. [対象と方法1胃および大腸の腫瘍性病変と非腫瘍粘膜部を対象に蛍光観察による表示色調と病理組織像との関係を検討した. 通常スコープによる観察を行った後に蛍光観察を行い, 蛍光像で病変と認識される暗~明赤色部, および, 周辺の正常背景粘膜または非腫瘍性炎症粘膜と認識される青色部の両者から生検を行い病理学的検索に供した. [結果1胃では自家蛍光像が暗赤色を示した部位が腫瘍組織であったのは約70%で, false positive例が存在した. 大腸粘膜では腫瘍部と背景正常粘膜部との蛍光像の色調差が大きく, 蛍光像が暗赤色であった部位の93%が病理学的に腫瘍(腺腫または腺癌)であったのに対し, 蛍光像が青色であった部位の97%が正常または炎症性非腫瘍粘膜であった. [結語1蛍光像で腫瘍性病変と認識される部位と正常または非腫瘍性粘膜と認識される部位について正診率は高く, 特に大腸粘膜に関しては通常内視鏡単独よりも蛍光観察を併用した方が腫瘍性病変の検出が容易であった. 本自家蛍光観察システムは蛍光物質の投与が不要で, screening検査への有用性が期待された.
ISSN:0288-6200