12. 九州での輸血後感染症検査の現状と今後-第45回九州医学検査学会『アンケート報告』
【目的】輸血用血液製剤の安全性は様々な検査の導入により格段に向上しているが血液製剤が原因による感染症の発生を完全に防ぐことはできず, 輸血前後の感染症検査を実施することが必要である. しかし, 様々な理由から輸血療法の実施に関する指針に示される検査を実施できないのが現状である. 今回, 九州地区での輸血後感染症検査実施にあたっての現状把握を目的としてアンケートを実施したので報告する. 【方法】九州各県の技師会へ協力を依頼し, 会員在籍施設を対象に, アンケート調査を実施, 回答頂いた192施設の結果について集計を行った. 集計は病床数により(1)200床未満, (2)200~499床, (3)...
Saved in:
| Published in | 日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 57; no. 1; p. 79 |
|---|---|
| Main Authors | , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本輸血・細胞治療学会
2011
|
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1881-3011 |
Cover
| Summary: | 【目的】輸血用血液製剤の安全性は様々な検査の導入により格段に向上しているが血液製剤が原因による感染症の発生を完全に防ぐことはできず, 輸血前後の感染症検査を実施することが必要である. しかし, 様々な理由から輸血療法の実施に関する指針に示される検査を実施できないのが現状である. 今回, 九州地区での輸血後感染症検査実施にあたっての現状把握を目的としてアンケートを実施したので報告する. 【方法】九州各県の技師会へ協力を依頼し, 会員在籍施設を対象に, アンケート調査を実施, 回答頂いた192施設の結果について集計を行った. 集計は病床数により(1)200床未満, (2)200~499床, (3)500床以上の3群に分けて実施した. 【結果】輸血後感染症検査を指針に従い実施している施設は32施設であり全体の16.7%であった. 病床数別では, (1)9施設(10.8%), (2)17施設(20.2%), (3)6施設(24%)であった. 指針に示される検査が実施されない理由としては, "検査時期に患者が退院, 転院している"が最も多く118施設. 次いで"担当医任せ", "検査時期の把握が困難"等の回答が多く, 検査実施率についても65%以上の施設が把握していない現状であった. また, 輸血後感染症検査の実施率を上げるための対策や工夫としては主治医あてに検査実施を促す案内文を発行, システムを利用しての警告表示, 項目のセット化など様々な工夫が行われていた. 患者さまには事前に輸血説明書または同意書により136施設が輸血前後の感染症検査について説明が実施されており, 輸血前後の患者検体の保管(73施設), 投与記録の保管と遡及調査時の使用(83施設), 生物由来製品感染症等被害救済制度(85施設)等の説明を実施している施設も多くみられた. また, 輸血後感染症検査実施後の結果説明は来院時に説明が78施設と最も多く, 陽性の場合のみ連絡が32施設, 結果に関わらず連絡が13施設であった. 【結語】輸血後感染症検査の実施には多くの問題があり, 各々の医療施設が様々な努力を行っているが, 実施率を上げるためには, 検査室側から臨床への積極的な働きかけが必要であると感じた. |
|---|---|
| ISSN: | 1881-3011 |