1. 九州血液センターにおける血液型抗原スクリーニングの現状
【はじめに】九州ブロックの各血液センターで行われていた検査業務を, 平成20年1月より福岡県久留米市に新設された日本赤十字社九州血液センターで開始してから間もなく1年が経過しようとしている. 今回, 抗原陰性血液およびまれな血液型抗原スクリーニングの検査状況と供給実績について調査したので報告する. 【対象と方法】平成20年1月からの200ml献血者および400ml献血者を対象に, 自動輸血検査装置(OLYMPUS PK7300)を用いて1検体12項目フル測定を行った. 7項目は医療機関へ抗原陰性血液として供給するための1次検査スクリーニング(以下候補血液)としてC, c, E, e, Lea,...
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Published in | 日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 55; no. 1; p. 94 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血・細胞治療学会
2009
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ISSN | 1881-3011 |
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Summary: | 【はじめに】九州ブロックの各血液センターで行われていた検査業務を, 平成20年1月より福岡県久留米市に新設された日本赤十字社九州血液センターで開始してから間もなく1年が経過しようとしている. 今回, 抗原陰性血液およびまれな血液型抗原スクリーニングの検査状況と供給実績について調査したので報告する. 【対象と方法】平成20年1月からの200ml献血者および400ml献血者を対象に, 自動輸血検査装置(OLYMPUS PK7300)を用いて1検体12項目フル測定を行った. 7項目は医療機関へ抗原陰性血液として供給するための1次検査スクリーニング(以下候補血液)としてC, c, E, e, Lea, Jka, Jkbの表現型およびロジック判定によるRhnull, -D-, Jk(a-b-)のまれな血液型についても確認した. 残りの5項目は, まれな血液型検索のため各種モノクローナル抗体を用いて抗K2, 抗Lan, 抗Ge, 抗Jra, 抗Enaなどの抗原スクリーニングを行った. 【結果】当初, 候補血液と2次検査による一致率は90%以上であったが, 現在はモノクローナル抗体の希釈倍数等の変更により一致率および信頼度がさらに向上した. まれな血液型については, 現在までに308,905本をスクリーニングしJr(a-)の新規検出者数122例, 再来者150例で検出率は0.088%と平成19年度稀な血液型調査研究班による報告0.037%に比べ若干高率であった. その他のまれな血液型については, Jk(a-b-)5例, Lan(-)2例, K0 3例であった. 平成20年1月から9月までのJr(a-)の供給本数は18本で, まれな血液型全供給本数の75%を占めておりK0 3本, Di(b-)2本, Fy(a-)1本であった. 【考察】候補血液による信頼度は向上したが, 医療機関での夜間, 休日の使用はほとんどない. 危機的出血時や遠隔地での輸血が必要な場合は, 候補血液による供給も可能である. まれな血液型を輸血する場合, 血液センターでは保管されていた中間製品(FRC)を解凍赤血球(FTRC)として医療機関へ供給していたが, 解凍作業に要する時間やそれに伴う供給時間の調整, 使用しなかった場合の血液製剤の有効利用が図られないなどの問題点を抱えていた. まれな血液型II群に属するJr(a-)については, 九州ブロックはもとより全国の医療機関へのニーズに対応するため, RCC-LR製剤として当センター血液調整課に保管することとした. これにより24時間迅速な供給が可能となり, Jr(a-)血液型を必要とする医療機関への安定供給が可能となった. |
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ISSN: | 1881-3011 |