1. 平成17年度移植検査部門研修会の実技研修判定結果報告

【はじめに】日本臨床検査技師会主催の移植部門研修会は主に輸血部門に携わる技師を対象として技術および知識向上を目的に毎年, 開催されており, 認定輸血検査技師試験受験者には数少ない実技経験の場となっている. 今回, 我々は実技研修で行われた血液型検査, 不規則抗体検査の判定結果のみを集計し解析を行ったので報告する. 【受講者】受講者数116名中109名が実技研修に参加した. 男性23名, 女性86名, 参加施設は96施設, 大学付属施設が7施設, 血液センターが4施設, 平均病床数は487床, 経験年数は3年未満が26名, 3年以上6年未満が40名, 6年以上が41名, 未記入が2名, 平均は7...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 52; no. 1; pp. 96 - 97
Main Author 竹山朋希
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2006
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ISSN0546-1448

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Summary:【はじめに】日本臨床検査技師会主催の移植部門研修会は主に輸血部門に携わる技師を対象として技術および知識向上を目的に毎年, 開催されており, 認定輸血検査技師試験受験者には数少ない実技経験の場となっている. 今回, 我々は実技研修で行われた血液型検査, 不規則抗体検査の判定結果のみを集計し解析を行ったので報告する. 【受講者】受講者数116名中109名が実技研修に参加した. 男性23名, 女性86名, 参加施設は96施設, 大学付属施設が7施設, 血液センターが4施設, 平均病床数は487床, 経験年数は3年未満が26名, 3年以上6年未満が40名, 6年以上が41名, 未記入が2名, 平均は79年, 最短3ヵ月, 最長35年であった. 【方法および検体】今回の実技研修では試験管法にてABO血液型検査, 不規則抗体スクリーニング(室温法:以下RT, 間接抗グロブリン法:以下AHG)を統一した試薬および血球を用いて4検体を検査し, 解答用紙に反応強度および判定を記入した. 使用した検体を以下に記すSample(1)はA型Rh(+)不規則抗体は抗E+抗Fyb陽性(II, III, Dia血球に反応あり). Sample(2)はA型にO型の異型輸血を行った患者の設定で作成した. 抗Aに4+mfを示す. 不規則抗体は陰性. Sample(3)はAxBRh(+)型で抗Aに1+, A1血球に2+を示す, 不規則抗体は陰性. Sample(4)B型Rh(+)にA型Rh(+)を移植し残存B血球ありという設定で作成した. 抗A, 抗Bともにmfあり裏検査判定はAB型, 不規則抗体は陰性. 【結果】複数の認定技師による事前検査結果と同様又は類似した結果を正答として経験年数ごとの正答率を割り出した. Sample(1)のABO血液型検査正答者数は99名, 91%であった. 経験年数3年未満では22名, 85%. 3年以上6年未満は38名, 95%. 6年以上では37名, 90%であった. RTでは89名, 82%が陰性. AHGでは陰性血球を陰性として陽性血球に反応があった者は101名, 93%であった. 経験年数3年未満の正答者は24名, 92%. 3年以上6年未満の正答数は37名, 93%. 6年以上では34名, 93%であった. Sample(2)ではABO血液型検査正答数は37名, 34%であった. 経験年数3年未満では9名, 35%. 3年以上6年未満は18名, 45%. 6年以上では9名, 22%であった. 不規則抗体検査ではRT陰性がほとんどであったがAHGでは多くの受講生に陽性反応が見られた. Sample(3)ではABO血液型検査正答数は48名, 44%で経験年数3年未満では10名, 38%. 3年以上6年未満の正答数は22名, 55%. 6年以上では16名, 39%であった. 不規則抗体検査RTでは90名83%, AHGでは102名94%が陰性を示した. Sample(4)ではABO血液型検査正等者数は55名, 正答率は50%であった. 経験年数3年未満の正答者は13名, 50%. 3年以上6年未満の正答数は24名, 60%. 6年以上では18名, 44%であった. 不規則抗体検査RTでは70名64%, AHGでは99名91%が陰性を示した. 【まとめ】輸血療法が患者に与える影響は大きく深い知識や的確な判断が求められる. 今回の実技研修からは記載ミスなどの事務的ミスや部分凝集, 弱陽性反応などの異常反応の見逃し, 血球洗浄不良などの技術的ミスが多く見られた. 試験管法は輸血検査の基本であり全自動検査機器が普及しても捨て去ることはできない. 今回, 明らかになった現状を踏まえて如何にレベルアップさせるかということも今後の課題の1つである.
ISSN:0546-1448