7.一大学病院における自己血輸血の現状
当院における術前貯血式自己血輸血は1990年より開始され, 以後14年を経過した. 院内においては適正輸血の推進とともに自己血輸血の必要性も認知され, 自己血採血予約などの管理体制の整備も進めてきたが, 今般の同種血輸血感染症発生事例報道など, 今後も自己血輸血の増加が見込まれる. そこで自己血輸血の現状を分析し今後の問題点を報告する. [方法]自己血採血時に輸血管理ソフトBTD5に入力し, 製造番号を自動付加して管理. 手術時には自己血輸血申込書, 交差試験用検体を提出してもらい交差試験実施. 出庫時にBTD5にて患者との同一性をチェックし出庫登録. このデータをBTD5にて集計した. [結...
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| Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 50; no. 3; pp. 489 - 490 |
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| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本輸血学会
2004
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0546-1448 |
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| Summary: | 当院における術前貯血式自己血輸血は1990年より開始され, 以後14年を経過した. 院内においては適正輸血の推進とともに自己血輸血の必要性も認知され, 自己血採血予約などの管理体制の整備も進めてきたが, 今般の同種血輸血感染症発生事例報道など, 今後も自己血輸血の増加が見込まれる. そこで自己血輸血の現状を分析し今後の問題点を報告する. [方法]自己血採血時に輸血管理ソフトBTD5に入力し, 製造番号を自動付加して管理. 手術時には自己血輸血申込書, 交差試験用検体を提出してもらい交差試験実施. 出庫時にBTD5にて患者との同一性をチェックし出庫登録. このデータをBTD5にて集計した. [結果]90年には患者数39人, 採血単位数185uであったが, 5年後の94年には患者数286人, 採血単位数で1,168uと約5倍に増加した. 97年には患者数746人, 採血単位数が2,000uを超え以降3年間では大きな変化はなかった. しかし2000年以降は漸増傾向にある. 診療科としては整形外科, 呼吸器外科から始まり, 現在では産科, 婦人科, 心臓外科, 脳外科, 一般消化器外科, 泌尿器科, 形成外科, 歯科, 口腔外科と多岐にわたり, 血液内科, 小児科の造血幹細胞移植ドナーにても実施している. [考察]90年には90%であった使用率が, 採血単位数が増加するに従い減少し, 02年では76%であった. 自己血廃棄率を診療科別にみると最多で歯科, 口腔外科の82%, 次いで形成外科で約60%に達する. 採血単位数の多い婦人科では廃棄率約30%にのぼる. 廃棄自己血の採取, 保管費用は全て病院負担であること. また自己血は患者誤認や採血時副作用がないように採血室での確認, 管理に時間と人手がかかることからも, できるだけ必要量に見合った採血が望ましい, 今後は術式別使用量の把握をして適正な採血量基準を設けるなど, 廃棄率削減に努めることが必要と思われる. |
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| ISSN: | 0546-1448 |