院内採血された同種血(院内血)輸血の適応の見直し

輸血療法の実施に関する指針では, 院内採血された同種血(院内血)輸血は特別な事情がない限り行なうべきではないとされている. 当院では日常的に止血目的で, 心臓血管外科, 特に小児心臓手術と大血管手術にて院内血が使用されていたことから, 今回, 院内血輸血の適応を見直すため, 輸血療法委員会で院内血の適正化を検討し, 院内血を使用しないという基本原則でマニュアルを策定した. また, 術中の止血に関しては術中凝固, 止血に関する臨床研究を開始し, 血小板製剤の適正使用による効果的な止血の可能性が示唆された. 結果として心臓血管外科手術では, 院内血の使用は無くなった. これにより止血困難に陥ったと...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 47; no. 1; pp. 59 - 60
Main Authors 岩谷泰之, 河合健, 山本賢, 高田雅弘, 山本律子, 片山善章, 亀井政孝, 畔政和, 宮田茂樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2001
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ISSN0546-1448

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Summary:輸血療法の実施に関する指針では, 院内採血された同種血(院内血)輸血は特別な事情がない限り行なうべきではないとされている. 当院では日常的に止血目的で, 心臓血管外科, 特に小児心臓手術と大血管手術にて院内血が使用されていたことから, 今回, 院内血輸血の適応を見直すため, 輸血療法委員会で院内血の適正化を検討し, 院内血を使用しないという基本原則でマニュアルを策定した. また, 術中の止血に関しては術中凝固, 止血に関する臨床研究を開始し, 血小板製剤の適正使用による効果的な止血の可能性が示唆された. 結果として心臓血管外科手術では, 院内血の使用は無くなった. これにより止血困難に陥ったという報告は無く, 院内血の心臓外科手術での止血に対する絶対適応は無いと考えられた.
ISSN:0546-1448